ファイル転送サービス「WeTransfer」が、2024年のゲスト・キュレーターにオラファー・エリアソンを迎えた。
同サービスは、これまでアーティストのマリーナ・アブラモヴィッチや、ミュージシャンのソランジュ・ノウルズ、俳優のラッセル・トーヴィーなどをゲスト・キュレーターに招待し、そのクリエイティブ・編集プラットフォームである「WePresent」で新進アーティストや作家の作品を紹介してきた。
今回、エリアソンはアート・ディレクターのサラ・マセット、アーティストのハディール・オマール、作家で理論家のニーマ・ギテレの作品を紹介。エリアソンはエディター・レターで、3人の作品は「いずれも複雑さを扱い、私が深い感銘を受ける議論を行っている」と評している。
サラ・マセットは、ベルリンのブラックおよびクィア文化コレクティブ「キロワット」の創設メンバーであり、都市で疎外されがちなコミュニティを積極的に支援している。「彼女とキロワットの指導のおかげで、ベルリンのイベントはその進歩的な価値観に対して責任を持つよう促されている」(エリアソン)。
ハディール・オマールのアプローチは、複雑な歴史や個人的な物語と関わり、スケールとコンセプトの面において深い思索を促す。ニーマ・ギセレの作品は、「アルゴリズムの残骸の時代における愛と先住性を探求する」というテーマをもと、デジタル空間、ソーシャルメディアの心理学、アフロダイアスポラ文化に関連する現在のポリクライシスの緊急の問題を探求している。
「今年とくに重要だと感じるのは、私たちがポリクライシスの瞬間に生きているという理解である。気候緊急事態は、人種的不正義、デジタル格差、経済不安定性、疾病の拡散などと深く絡み合っており、どの危機もほかの危機と無関係にとらえることはできない」と話すエリアソン。今回のコラボレーションについて、次のような期待を寄せている。「私はWeTransferとゲストキュレーターとして協力し、彼らの重要な声をさらに拡げ、重要な議論を引き起こし、ほかの人々にインスピレーションを与えることができて非常に嬉しい」。