空間、光、水、霧などの自然界の要素を巧みに用いて、人間の知覚の仕組みや認識を問い直すような作品を生み出しているアーティスト、オラファー・エリアソン。2003年にテート・モダン内タービン・ホールで人工の太陽と霧を出現させた個展「The Weather Project」をはじめ、世界各地で様々なプロジェクトを手がける、現代を代表するアーティストのひとりだ。
オラファーは環境問題への取り組みでも知られており、グリーンランドから運んだ氷塊を街中に配した《Ice Watch》(2014-)など、作品でもその姿勢を示してきた。また2012年にはエンジニアのフレデリック·オッテセンとともに、「Little Sun」を創立。「Little Sun Original」などのプロダクトを開発し、電力へのアクセスがないアフリカの地域を主な対象に、太陽光発電によるサステナブルな照明を届ける活動している。
今回、イケアはオラファー率いるLittle Sunとコラボレーションし、「作品」とも言えるプロダクトを生み出した。それが「SAMMANLÄNKAD/サマンレンカド シリーズ」だ。
SAMMANLÄNKADはスウェーデン語で「つながる」を意味する言葉。太陽エネルギーへの関心を喚起するとともに、公平なエネルギーアクセスへの意識を高めるために生み出されたもので、「SAMMANLÄNKAD/サマンレンカド LED 太陽電池式テーブルランプ」(税込8999円)とポータブルタイプの「SAMMANLÄNKAD/サマンレンカド LED 太陽電池式照明」(税込1999円)の2種類がラインナップされている。
「SAMMANLÄNKAD/サマンレンカド LED 太陽電池式テーブルランプ」は、太陽のまわりを回る地球の軌道をインスピレーションにしてデザインされた照明。ジャイロスコープのようなフレームは、あらゆる角度に回転する仕様だ。またコードレスのため、ペンダントランプや懐中電灯、非常用モバイルバッテリーにもなり、場所や用途を限定することなくあらゆる場面を明るく照らすことができる。柔らかな光と明るい光をボタンで切り替えることも可能だ。
いっぽうの「SAMMANLÄNKAD/サマンレンカド LED 太陽電池式照明」は、アウトドアでの活用が想定されたモデルで、黄色のストラップを使えばバックパックに吊るしたり、手首にかけることも可能。ポケットサイズなのも嬉しい。
いずれも計算されたシンプルなフォルムで、暮らしに取り入れやすいデザインの「SAMMANLÄNKAD/サマンレンカド シリーズ」。IKEA of Swedenのクリエイティブリーダー、ジェームス・フッチャーは、プロダクト開発の背景をこう語っている。「ほとんどのエネルギー資源は限られた資源で、費用がかかり、環境に悪影響をもたらします。そこで、太陽の出番です。太陽はもっともパワフルな自然エネルギー資源で、いつでも存在しています。それを捕らえるツールさえあれば誰でも利用できます。よく考えられたデザインは違いを生むという共通の信念に基づいて、イケアはLittleSunと協力し、SAMMANLÄNKAD/ サマンレンカドシリーズを開発しました。太陽光パネルを使った技術的な開発に美しさやアート、デザインを取り入れた製品づくりをしているLittle Sunは、このプロジェクトに最適なパートナーです」。
またオラファーは、「イケアとのコラボレーションは、エネルギーアクセスへの意識を高めるというイケアのミッションをサポートし、私たちには世界を共同形成する可能性があることを再認識させてくれます」と、今回のプロジェクトの意義を強調している。
SDGs(持続可能な開発目標)が声高に叫ばれるいま、本シリーズはエネルギーを身近なものとして考える良い機会を提供してくれるだろう。