文化庁令和6年度予算は1062億円に。文化財の修理保存や国立文化施設の機能強化に焦点か

文化庁が令和6年度の当初予算額(案)を1062億円と発表。令和5年度に比べ1億円(0.1パーセント)の増額となった今回の注目点をまとめた。

京都にある文化庁の新庁舎

 文化庁の令和6年度の当初予算額(案)が12月22日に閣議決定された。6年度予算は1062億円となり、令和5年度に比べ1億円(0.1パーセント)の増額となる。今回の予算で注目ポイントをまとめた。

「継承の危機に瀕する文化財保護の緊急強化」(445億円)

 今回冒頭に挙げられているのは、「文化財修理・整備・活用、防災対策等」(256億円)だ。喫緊の課題となっている、継承の危機に瀕する国宝・重要文化財等の修理・整備の緊急強化、防火・耐震対策による強靱化がよりいっそう推進される。

 また、令和4年度より実施されている文化財の持続可能な保存・継承体制の構築を図るための5か年計画「文化財の匠プロジェクト」もさらなる充実を図り、修理人材の養成や用具・原材料の確保も推進されるという。12月25日には、京都に設置予定の「国立文化財修理センター(仮称)」の基本構想も発表された。

 ほかにも、「無形文化財の伝承・公開」「文化財保存活用地域計画の策定支援」「地域伝統行事・民俗芸能等継承振興事業」を含む「多様な文化遺産の公開活用の促進等」には188億円が当てられる。

 「グローバル展開やデジタル化などによる文化芸術活動の充実」(219億円)

 2023年度同様実施されるのは、「文化芸術のグローバル展開等による創造的循環の創出」(16億円)や、「舞台芸術等総合支援事業」(94億円)、「文化芸術による創造性豊かな子供の育成」(85億円)などが挙げられる。また、マンガ・アニメ・ゲームなどといった「メディア芸術」の振興・発展を図る「メディア芸術の創造・発信プラン」(9億円)も注目ポイントだ。

 2024年度に新たに予算が確保されるのは、「現代的課題に対応した劇場・音楽堂等の総合的な機能強化の推進」(27億円)。これは後述する「文化振興を支える拠点等の整備・充実」にも準ずるが、世界に向けた創造発信と地域における文化拠点としての役割強化を目指すものとなる。

文化振興を支える拠点等の整備・充実(359億円)

 今年大きな話題となった国立科学博物館が9億円以上を集めたクラウドファンディング「地球の宝を守れ|国立科学博物館500万点のコレクションを次世代へ」の影響もあり、「国立文化施設の機能強化」(独立行政法人国立科学博物館、独立行政法人国立美術館、独立行政法人国立文化財機構、独立行政法人日本芸術文化振興会)には大部分の323億円が当てられる。さらに、全国の博物館・美術館などといった文化拠点の「機能強化・文化観光推進プラン」には18億円が、そして国語の改善と普及、消滅危機にあるアイヌ語や奄美・沖縄等の方言の保存・継承環境を整備・研究する「国語施策の充実」には2億円が当てられる予定だ。

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