毎年横ばいが続く文化庁の予算。文化庁が令和6年度の概算要求を発表した。今回の概算要求は、令和5年度比で27.2パーセント増の1350億円(デジタル庁一括計上分を含む)を計上している。
文化財関連では、「国宝・重要文化財建造物保存修理強化対策事業」が昨年度の113億円から大幅に増加し165億円に。また「城郭施設整備事業」は新規予算として24億円が計上されている。地域のシンボルである城を整備することで「観光立国」の推進につなげたい考えが見える。
また文化財関連では、「日本の修理文化の継承と国内外への発信を進め、中長期的に持続可能な保存・活用サイクルを実現」するため、国は京都に「国立文化財修理センター」を設置する予定だ。令和6年度はその設計や運営に向けた検討などを進めることにしており、2億円が新規計上されている。
現代アートに関連する分野では、「未来のトップアーティスト等の国際的活動支援事業」が昨年度同様の2億円で計上。また「新進芸術家の海外研修」はコロナ禍の収束に伴う新規応募者の増加に比例し、2億4300万円(前年度1億8700万円)と微増している。「世界から人を惹きつけるグローバル拠点形成の推進」も7億2700万円(前年度5億円2700万円)と増額要求。その要因は、「アートの国際拠点づくりによる国際的なアートの文脈の創出」「日本人アーティストによる効果的な国際発信」などを目的とした「国際的なイベントにおけるアートの国際発信」の3億900万円(前年度1億900万円)だ。
今年は文春オンラインと『文藝春秋』において、東京国立博物館の藤原誠館長による緊急寄稿(「このままでは国宝を守れない」)が掲載され大きな話題を集めたが、次年度予算ではこの東博の平成館の空調設備(展示室系統他)改修に2億6900万円が新規計上されている。加えて、クラウドファンディングで注目された国立科学博物館については収蔵庫新営に7億7900万円の新規予算が要求されている。
なお、令和6年度は「現代的課題に対応した劇場・音楽堂等の総合的な機能強化の推進」に新規予算として44億円が計上された。