ウィーン・ミュージアム・カールスプラッツ本館が12月にリニューアルオープン。総面積は約2倍に拡大

グスタフ・クリムトやエゴン・シーレの絵画などを収蔵している「ウィーン・ミュージアム・カールスプラッツ本館」。2019年より改修・拡張工事のため一時休館中の同館が、12月6日にリニューアルオープンする。

本館全景 © Kollektiv Fischka

 1959年に設立された市立博物館組織で、現在は21の博物館・史跡を運営している「ウィーン・ミュージアム」。2019年より改修・拡張工事のため一時休館している「ウィーン・ミュージアム・カールスプラッツ本館」が、12月6日にリニューアルオープンを迎える。

 同館は、グスタフ・クリムトやエゴン・シーレの絵画から、オットー・ワーグナーの建築デザイン図、城壁があった頃の市街の模型まで、約2000年間のウィーン市史を網羅する作品や資料を所蔵している。2019年の休館に伴い約300点の主要作品を東京の国立新美術館で紹介した特別展「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」が話題を呼び、日本でも馴染みの深い博物館だ。

 今回の改修工事は、オーストリアの建築事務所「チェルトフ、ヴィンクラー+ルック」社が中心となり、2020年6月に着工。ウィーン市の調達により1億800万ユーロ(約168億5000万円)のプロジェクト予算が組まれている。

 改修工事により、博物館の正味床面積は6900平米から1万2000平米と約2倍になった。そのうち、約3000平米が常設展示会場(改修前は2000平米)、1200平米が企画展示会場として使われる予定だ。

 既存の3階建ての建物は、すべて常設展の展示室となる。1階(古代ローマ時代)から3階(現代)へと上がりながら約2000年間のウィーンの歴史を俯瞰する観覧ルートが設けられ、常設展の内容もこれを機に一新する。

既存の建物 © Kollektiv Fischka

 既存の建物の上に浮かぶようなかたちで増築された4階(通称、「フローティング・フロア」)は、企画展会場として利用される予定。フローティング・フロアと既存の建物のあいだには一般開放のテラスも設けられ、1739年に完成したバロック様式のカール教会を眼前にした眺望を楽しむことができる。またテラスには、カフェとイベントスペース、瞑想スタジオも併設される。

テラス © Kollektiv Fischka

 ウィーン市観光局のプレス担当マティアス・シュヴィンドルは、「ウィーン・ミュージアム・カールスプラッツ本館がついに再オープンを迎えることを、大変嬉しく思っています。新たな視線で街の歴史を知り、新しいテラスからの眺望をお楽しみください」とコメントしている。

 12月6日のリニューアルオープンとともに常設展が公開。なお、2024年2月1日~4月28日にはオーストリア国立図書館などを設計したハプスブルク宮廷建築家の回顧展「ヨハン・ベルンハルト・フィッシャー・フォン・エルラッハ」、同年5月22日~10月13日には分離派運動に焦点を当てる特別展「分離派:クリムト、シュトゥック、リーバーマン」の開催が予定されている。

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