東京都の指定管理施設「東京都人権プラザ」で開催された企画展「飯山由貴 あなたの本当の家を探しにいく」(2022年8月30日〜11月30日)の附帯事業として実施が計画されていた映像作品《In-Mates》の上映。これに対して関東大震災の朝鮮人虐殺事件に触れることなどを理由に、東京都人権部が作品上映を禁止する判断を下した。
これに抗議し説明を求める要望書が今年3月に提出されたものの、人権部は回答を拒絶し続け、小池百合子都知事は関東大震災の朝鮮人虐殺事件についての追悼文不送付を続けている。こうした都の姿勢に対し、震災から100年となる9月1日に都庁で抗議活動が行われた。
今年3月1日、飯山は《In-Mates》に出演したラッパーのFUNIとともに、3万筆分の署名とともに、作品上映とトークの実施、検閲についての改めての調査や説明を求める要望書を人権部に提出。しかし、その後も人権部からは返答がなく、アーティストの労働組合であるアーティスツ・ユニオン(プレカリアートユニオンアーティスト支部)を通じて要望書に対する返答を求め続けてきたが、人権部からの回答はいまもない。
9月1日、改めて人権部ならびに小池都知事に抗議するため、人権部への申し入れと、リレートーク、ダイ・イン、そして路上デモが行われた。当日はまず、人権部への申入書の提出のため、飯山やFUNIら30人以上が東京都庁13階にある人権部を訪れようとしたものの、ゲートの入口で警備員に入場を拒まれた。訴えを続けた結果、人権部の課長がゲートの内側から申入書を受け取ることとなり、手渡しの際に飯山は、改めて人権部による検閲の説明の場の設定を求めた。
申入書の提出後、都庁前ではリレートークが行われ、参加者各位が東京都への要望や反差別への思いをスピーチした。飯山はこのリレートークで「歴史の否定を続ける小池都知事は、100年を経たいまもなお(朝鮮人虐殺で)亡くなった人々を軽視している」と訴えた。
リレートークの後に集団は新宿中央公園水の広場に移動して、ダイ・イン(死者になりきる抗議行動)を実施。その後、都庁の周囲を一周するデモ行進を行った。
飯山たちが要望書を人権部に提出してから半年が経とうとしている。再三の訴えに対し、人権部と東京都の誠実な対応が改めて求められている。