激化する環境活動団体による名画への攻撃。10月以降、ロンドン・ナショナル・ギャラリー、アムステルダム国立美術館、パラッツォ・ボナパルト、ノルウェー国立美術館などで、展示中のゴッホやモネなどの名画がその標的となってきた。
作品は保護されているためいずれも無傷となっているが、次から次へと発生する同じような事態には懸念が高まっている。こうしたなか、世界最大のミュージアムネットワークである「ICOM(国際博物館会議)」が、声明を発表した。
「Statement: Museums and Climate Activism」と題した声明の中でICOMは、「コレクションの安全性に関する博物館の懸念と、地球上の生命を脅かす環境破壊に直面している気候変動活動家の懸念の両方を認め、共有する」としつつ、ミュージアムにおける抗議活動が「専門家やボランティアの仕事に影響を与える可能性がある」と懸念を表明。
これまでの活動家らは、「環境保護か芸術か」という極端な二択を主張しているが、ICOMは「ミュージアムが気候変動という共通の脅威に直面する同盟者」として見なされることを望むとしており、ミュージアムは環境保護活動と敵対関係にあるものではない、と強調したかたちだ。
またICOMは、「気候変動は自然災害や異常気象による保存状態の維持の困難化など、有形・無形の文化遺産、博物館やそのコレクションにとって脅威となりつつある」としており、気候変動対策のために団結する必要性を説いている。