2022.1.21

吉開菜央監督の『Shari』が第51回ロッテルダム国際映画祭の短・中編部門に公式選出

ダンサー・振付家・映画作家の吉開菜央が監督を務め、北海道知床半島斜里町の人々の現実の生活や心根を描き出した映画『Shari』が、第51回ロッテルダム国際映画祭の短・中編部門に公式選出された。

『Shari』より
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 約30万人が来場する世界最大規模の映画祭で、ヨーロッパではカンヌ、ヴェネツィア、ベルリンと並び世界でもっとも重要な映画祭のひとつであるロッテルダム国際映画祭。1月26日〜2月6日に開催される第51回ロッテルダム国際映画祭の短・中編部門に、映画作家の吉開菜央監督の最新作『Shari』が短・中編部門に公式選出された。

 同作は、北海道知床半島斜里町の人々が、撮影を務めた写真家の石川直樹とともに、新しい知床の一面を発見・発信するために結成したプロジェクト「写真ゼロ番地 知床」の実行委員会が主催する「TOP END4」という展示企画として始まったもの。そのゲスト作家として石川が吉開に声をかけ、同作は生まれた。

『Shari』より
『Shari』より

 ダンサー・振付家・映画作家の吉開は、米津玄師『Lemon』のミュージックビデオへのダンサーとしての出演や、カンヌ国際映画祭監督週間に正式招待された『Grand Bouquet』、文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門で新人賞を受賞した『ほったまるびより』などの短・中編映画の監督として知られている。自らの心身に蓄積した経験・感覚・気配・記憶などを様々なメディアで表現し、映画にとどまらず多様な分野で活動している。

 この作品では、吉開が斜里町での取材を通して得た疑問や気づきを、ドキュメンタリー・フィクション・エッセイ・詩・音楽など様々な表現方法を組み合わせており、土地についての断片的なエピソードを寓話的に紡いでいる。石川がとらえた映像では、2020年の斜里町の人々の現実の生活や心根を優しく描き出している。

『Shari』より
『Shari』より

 今回の公式選出に際して、ロッテルダム国際映画祭はその選出理由について次のようにコメントしている。「日本の北の果てを舞台に、探索的なダンスや映像の要素で知られる吉開監督が、独自の表現方法によってその地域を遊び心いっぱいに描き出した作品になっている。ASMR風の調子も小気味良く、映画の設定と相まって、この作品をユニークなものにしている。これらの特色が、審査委員会を納得させた」。

 なお、今回のロッテルダム国際映画祭短・中編部門には28ヶ国から60作品が選出。日本からは同作のほか、津村将子とエリック・シライ監督の『行き止まりのむこう側』も選出されている。

『Shari』予告編