2017年より、宮城県石巻市・牡鹿半島を中心に開催されてきたアート・音楽・食の総合芸術祭「Reborn-Art Festival」。その3回目となる今年は、「Reborn-Art Festival 2021-22」として、会期を21年夏会期(8月11日〜9月26日)と22年春会期(2022年4月23日〜6月5日)に分けて開催される。
東日本大震災から10年という節目に開催される今回のテーマは「利他と流動性」。周りを思いやる「利他」と、流動性のなかで新たな日常や本質をかたちづくる想像力や関係性に改めて向き合う意味が込められており、地域の内側からの復興と新たな循環を生み出すという目的の集大成を目指す。
前回は初めてエリアごとのマルチキュレーター制が採用されたが、今回は小林武史が総合プロデューサーを担当。アートの部分はインディペンデント・キュレーターとして活動する窪田研二が企画を担う。
参加アーティストは22組。窪田は今回のキュレーションについて、「他者との関係性、自然との関係性など、普段は思いを馳せないものとの関係性に対する想像力を共有する作品を選定した」と話す。展示は石巻市街地、女川、桃浦、荻浜、小積の5エリアで展開(春会期は石巻市のみ)。女川は今回初めて会場となる地域だ。
もっとも多くの作家が展示を行う石巻市街地エリアには、廣瀬智央、邱和宏、⼤友良英、⽚⼭真理、⾬宮庸介、MES、⻄尾康之、マユンキキ、髙橋匡太、バーバラ・ヴァーグナー&ベンジャミン・デ・ブルカが参加。旧銭湯やスケート場などのほか、⽯ノ森萬画館も会場として使用される。
温泉施設の⼊った坂茂設計の駅舎と海が⾒えるまちづくりが特徴の女川会場には、会⽥誠、オノ・ヨーコ、加藤翼の3人が参加。会田は駅前に《考えない人》と題した彫刻を設置。加藤は巨大な構造体をロープで動かす「引き興し」プロジェクトを実施するという。
桃浦エリアは前回も会場となった旧荻浜⼩学校に、篠⽥太郎、サエボーグ、森本千絵×WOW×⼩林武史、岩根愛、SWOONが参加。
また貝殻で白くなった浜「ホワイトシェルビーチ」がある荻浜エリアでは、⼩林万⾥⼦、⽚⼭真理、布施琳太郎、狩野哲郎が作品を展示。荻浜灯台は今回初めて展示スペースとして使用される。
⾷⾁処理加⼯施設「フェルメント」のある⼩積エリアでは、前回から継続して写真家・志賀理江⼦がプロジェクトを実施。枯れた杉の⽊を題材に、現地での作品制作を行っている。
なおこれらのほか、過去のリボーンアート・フェスティバルで発表された作品の⼀部も常設作品として鑑賞可能。同芸術祭のシンボルとなっている名和晃平の《White Deer (Oshika)》はもちろんのこと、島袋道浩による《⽩い道》や吉増剛造の《room キンカザン》は必見だ。