2020.12.17

東京オペラシティアートギャラリーの2021年度スケジュールが発表。ライアン・ガンダーや加藤翼、和田誠の展覧会を開催

東京・新宿の東京オペラシティアートギャラリーは、2021年度のプログラムを発表。ライアン・ガンダー、加藤翼、和田誠、ミケル・バルセロの展覧会を開催する。

ライアン・ガンダー Magnus Opus 2013 公益財団法人石川文化振興財団蔵 (c)Ryan Gander. Courtesy of Collection of Ishikawa Foundation, Okayama, and TARO NASU
photo by Martin Argyroglo
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 東京・新宿の東京オペラシティアートギャラリー。その2021年度のプログラムが発表された。

 まず、2021年4月17日〜6月20日には、ライアン・ガンダーの東京の美術館では初めてとなる大規模個展「ライアン・ガンダー われらの時代のサイン」を開催。

 ライアン・ガンダーは1976年イギリス生まれ。古今東西の美術作品や、日常生活で気に留めないあたりまえの物事への着目を出発点とした制作を行い、オブジェ、インスタレーション、絵画、写真、映像など多彩なジャンルで発表を行ってきた。その作品は「見る」ことについての洞察や日常経験の鋭い分析など、知的な好奇心が満ちあふれている。個展では、新作を含めて空間全体をひとつの作品としてつくりあげることを目指すという。

 また、もうひとつの試みとして、ガンダーのキュレーションによる、同館収蔵品展も開催。 ガンダーがプライベートコレクションをどのようにとらえ、 選び、味わうのか、その新たな視点にも期待が寄せられる。

ライアン・ガンダー Pre-everything; Stabs at academia with painters tools (Page One Hundred and Twenty-Seven) 2019 (c)Ryan Gander. Courtesy of TARO NASU photo by Thierry Bal

 2021年7月17日〜9月20日には、ロープと人力だけで巨大な構造体を引き倒したり、引き起こす「Pull and Raise」シリーズでも知られる加藤翼の個展を実施。

 加藤翼は1984年埼玉生まれ。互いに縛られた4人の白人男性がアメリカ国歌を演奏する《Woodstock 2017》や、アメリカ先住民・スー族のスタンディングロック居留地で、石油パイプライン建設によって移動を余儀なくされた小動物に焦点を当てた《Underground Orchestra》(2018)など、現代社会への鋭い批評に満ちた作品を次々に発表してきた。

  新型コロナウイルス感染症のパンデミックという状況下において、また国家や国民の二極化が世界的に危惧されるなか、分断や対立を超えた協働作業や連帯による可能性に、あらためて気づかせてくれる作品が発表される予定だ。

加藤翼 Superstring Secrets: Tokyo 2020 Courtesy of MUJIN-TO Production

 イラストレーションやエッセイなど、多彩な仕事で知られる和田誠の展覧会は、2021年10月9日〜12月19日に開催。

 昨年逝去した和田誠は、軽快なタッチと優しい色づかいで描かれたイラストレーション、映画や音楽に関するエッセイ、絵本などで知られており、自身のエッセイをはじめとした著作も数多く残した。さらに、自ら監督をつとめた映画やアニメーション、立体作品、落語や演劇の台本、訳詞や作曲など、その活動はジャンルの垣根を超えて広がりを見せている。

 断片的にその作品を知ることはあっても、全貌を見る機会はそれほど多くはなかった和田の仕事。同展では和田の多彩な作品を展覧しつつ、その言葉や出会った人々、幼少期に描いたスケッチなどを交えて、制作の源流をひも解く。

和田誠 (c)Wada Makoto 写真=吉田宏子

 2022年1月13日〜3月には、ミケル・バルセロの個展を予定している。現代芸術を牽引する美術家のひとりとして、欧州を中心に精力的な活動をつづけるミケル・バルセロの全貌を日本で初めて紹介する展覧会だ。

 1957年スペイン生まれのバルセロは、1982年の「ドクメンタ7」でデビューして以来、生地であるマヨルカ島をはじめ、パリ、アフリカなど、世界各地にアトリエを構え、各地の風土や文化、歴史と対峙するなかで制作をつづけてきた。

 その作品は、海と大地、動植物、歴史、宗教、闘牛、肖像といったテーマで制作されており、いずれも自然と人間の営みに対する深い愛情や尊敬畏怖の念に根差している。いっぽうでバルセロは、現代芸術の諸潮流にも関心を寄せながら、国際的な美術の文脈も的確にとらえてきた。

 同展では初期から現在に至るまでのバルセロの制作活動を、絵画、素描、水彩など平面作品を中心に、彫刻、陶芸、映像も加えた約100点の作品によって紹介する。

ミケル・バルセロ とどめの一突き 1990 作家蔵 photo by André Morin