総合ディレクターの中尾浩治が3月31日付で辞任し、参加予定だったアーティストの大半が不参加となることが明らかになった「ひろしまトリエンナーレ2020」。これをめぐり、広島県は中止とする決定を下した。
同トリエンナーレについては、県が実行委員会とは別に、展示内容のすべてを選定する「アート委員会」を新設する方針を固め、これに抗議するかたちで総合ディレクターが辞任。緊急声明を発表し、強く批判した。
実質的に空中分解の様相を呈したひろしまトリエンナーレ。こうした状況下で県は新型コロナウイルス感染拡大を理由に中止とすることを決めた。
この判断について、元総合ディレクターの中尾は美術手帖に対し「新体制について検討しないままコロナの影響で中止としたことは残念だ」とコメント。今後については、「ひろしまという名前、場所の世界的な価値を考えて現代アートをやってほしい」と語る。
当初予定されていたトリエンナーレでは、広島市現代美術館が今年11月から改修工事に入る関係で広島市は会場に入っていなかった。同館は2022年春のリニューアル開館を目指しており、中尾は「(今後トリエンナーレをやるとすれば)リニューアル後の広島市現代美術館も会場に加えて、広島市でもやってほしい。県や市から(総合ディレクターの)打診があれば検討したい」と前向きな姿勢を見せている。