愛知県芸術劇場に初の芸術監督。来年度より勅使川原三郎が就任

愛知県芸術劇場が2020年度より設置する芸術監督に、勅使川原三郎が就任する。勅使川原は19年4月より同劇場のアドバイザーを務めており、就任後の主催事業についても協議を重ねてきた。

勅使川原三郎、東京・荻窪の「カラス・アパラタス」にて

 2020年4月1日、愛知芸術文化センター内にある愛知県芸術劇場の芸術監督に、ダンサー・振付家・演出家の勅使川原三郎が就任する。芸術監督としての任期は2024年3月までの4年間。同劇場が芸術監督を設置するのは初となる。

 勅使川原は1953年東京都生まれ。85年にダンスカンパニーKARASを設立し、美術・照明・衣装・選曲などを自ら手がけながら、各国で作品を発表してきた。07年に芸術選奨文部科学大臣賞、09年に紫綬褒章、17年にはフランス芸術文化勲章オフィシエを受章している。

 勅使川原は19年4月1日より愛知県芸術劇場のアドバイザーとして、芸術監督就任後の主催事業の方向性について協議を行ってきた。就任後は、公演ラインナップの策定や、自らが実施する公演を通じて、舞台芸術のプレゼンスの向上に努めていくという。

 芸術監督への就任について、勅使川原は以下のように語った。

 「とても誇りに感じている。創作者とは違う場所に身をおき、新たなものの見方や価値の創出ができないかと考えて引き受けた。愛知県芸術劇場では5人のプロデューサーがそれぞれの分野で責任をもって仕事をしている。勅使川原の趣味を持ち込んだり、その色に染めるのではなく、これまで公演が続いてきたことの価値を見極め、継続して発展させることが役割だと思っている」。

記者発表より、左から菅沼綾子(公益財団法人愛知県文化振興事業団・理事長)、勅使川原三郎、丹羽康雄(愛知県芸術劇場・館長)、東京・荻窪の「カラス・アパラタス」にて

 また、現在準備しているプロジェクトについては以下のように説明。

 「愛知県には優秀なバレエ団が数多くある。彼らと協力して特別なプロジェクトをやりたいと思い、バレエ団の人々とミーティングを重ねている。バレエに詳しい人なら、これが非常に難しい取り組みであることがわかると思うが、実現させてこれまでにはなかった形態や価値観を提示したい。他にも、4年の任期内だけではなく、自分が退任したあとも続いていくような価値のある仕事を、いまから始めたいと考えている」。

 就任に先立ち、芸術監督就任記念プレ事業として、勅使川原が演出や振付を手がけ、自らも出演するダンス・コンサート『三つ折りの夜 ー遠い時の香りに染みた鏡ー』が、3月12日に愛知県芸術劇場コンサートホールで開催される。

編集部

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