エッシャーの創造力の源泉に迫る。ドキュメンタリー映画『エッシャー 視覚の魔術師』が12月に公開
「だまし絵」で知られるオランダ人版画家・画家のエッシャー。その知られざる波乱に満ちた人生を紐解き、創造力の源泉に迫る映画『エッシャー 視覚の魔術師』が、12月14日からアップリンク渋谷・アップリンク吉祥寺ほか全国で順次公開される。
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「私の作品をテーマに良い映画をつくれるのは、恐らくこの世にひとり。それは私だ」。こう書いたのは、いわゆる「だまし絵」で世界的に知られるマウリッツ・コルネリス・エッシャー(1898~1972)。その知られざる波乱に満ちた人生と、いまなお人々を魅了し続ける作品の秘密に迫る映画『エッシャー 視覚の魔術師』が、12月14日から公開される。
エッシャーはオランダ・レーワルデン生まれ。1919年から建築装飾芸術学校に通い、恩師であるメスキータに版画の才能を見出されて専攻を変更。35年にスペイン・グラナダのアルハンブラ宮殿のタイルに魅了され、37年から「平面の正則分割」に関するノートをまとめ始める。50年代に『タイム』『ライフ』といった雑誌の取材を受け一躍世界的に知られることになるものの、69年に遺作《蛇》を残し、74歳でこの世を去った。
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本作はそんなエッシャーの知られざる人生を、1000以上の書簡や日記、家族へのインタビュー、収集家の証言を通して丹念にたどるもの。また作中には、70年代のサイケデリック・ムーブメントの時代に、エッシャーから多大な影響を受けたと語るミュージシャンのグラハム・ナッシュも登場。日常生活にまで及ぶエッシャー作品の影響と、その創造力の源泉を描く。
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加えて注目したいのは、3Dアニメーションを用いた映像表現。エッシャーの作風は第二次世界大戦を挟んで、従来の伝統的な作品から大きな変化を遂げた。本作ではエッシャーがどのように漠然としたアイデアを視覚化し作品を生み出していたのか、その思考のプロセスを明らかにする。
アーティストであると同時に、鋭い観察者でもあったエッシャー。膨大な量の日記や書簡をはじめ、つねに自分が見たものや感じたことを子細に書き綴っていた。本作では、自らの言葉で私生活を語ることで生まれる、エッシャー作品の源泉を垣間見ることができるだろう。