2019.10.22

シュルレアリストを魅了した奇想の宮殿。映画『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』が12月公開へ

郵便配達員のジョゼフ=フェルディナン・シュヴァルがたったひとりで石を拾い集め、33年間をかけ手作業でつくりあげた通称「シュヴァルの理想宮」。1969年に仏政府の重要建造物にも指定されたこの実在する宮殿にまつわる逸話を映画化した『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』が12月13日より全国公開される。

『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』より (C)2017 Fechner Films - Fechner BE - SND - Groupe M6 - FINACCURATE - Auvergne-Rhone-Alpes Cinema 配給=KADOKAWA 12月13日(金)全国公開
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 フランス南東部の村・オートリーヴには、ある「宮殿」が存在する。

 その宮殿とは、郵便配達員のジョゼフ=フェルディナン・シュヴァル(1836〜1924)がたったひとりで石を拾い集め、すべて手作業で築き上げた、通称「シュヴァルの理想宮」だ。

 1879〜1912年の33年間もの月日を費やして建てられたこの宮殿は、アンドレ・ブルトンを筆頭としたシュルレアリスムの作家やパブロ・ピカソを魅了し、69年にはフランス政府の重要建造物に指定された。

『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』より (C)2017 Fechner Films - Fechner BE - SND - Groupe M6 - FINACCURATE - Auvergne-Rhone-Alpes Cinema 配給=KADOKAWA 12月13日(金)全国公開
『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』より (C)2017 Fechner Films - Fechner BE - SND - Groupe M6 - FINACCURATE - Auvergne-Rhone-Alpes Cinema 配給=KADOKAWA 12月13日(金)全国公開

 今回、この宮殿にまつわるエピソードを映画化したのは、映画『エトワール』(2000)『グレート デイズ!―夢に挑んだ父と子―』(2014)などの監督作で知られるニルス・タヴェルニエ。寡黙で不器用な郵便配達員のシュヴァルが、愛娘・アリスのために「おとぎの国の宮殿」を建てるという挑戦を思いつき、人々に嘲笑されながらも地道に石を運び、積み上げる日々と過酷な運命を描く。

 タヴェルニエを演じるのは、映画『レセ・パセ 自由への通行許可証』(2002)でベルリン国際映画祭男優賞を受賞したジャック・ガンブラン。妻・フィロメーヌ役にはレティシア・カスタを迎える。

 ほぼ全編の撮影を実際の「シュヴァルの理想宮」で行ったという本作。その映像美で、「素朴派(19〜20世紀の絵画の一傾向)唯一の建築」とも称される宮殿の造形も堪能してほしい。

『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』より (C)2017 Fechner Films - Fechner BE - SND - Groupe M6 - FINACCURATE - Auvergne-Rhone-Alpes Cinema 配給=KADOKAWA 12月13日(金)全国公開