アイ・ウェイウェイが研究チームを香港に派遣。デモの映像を作品化

犯罪容疑者を中国本土に引き渡せるようにする「逃亡犯条例」改正案をきっかけにし、6月以来香港で行われている一連の大規模なデモ。中国人のアーティスト/活動家である艾未未(アイ・ウェイウェイ)が、研究者チームを香港に派遣し、デモの様子を記録。その素材をアート作品やドキュメンタリーの制作に使う予定だという。

 

8月12日に香港空港で行われたデモ 出典=ウィキメディア・コモンズ

 6月9日から香港で起きている一連の大規模なデモがすでに10週目に入った。その事態が収束する様子はまだない。

 今週に入ってから、香港の空港では5000人以上の抗議者が座り込みを行い、数百便が欠航したほか、中国本土の観光客や記者が抗議者による暴行を受けた場面もあった。犯罪容疑者を中国本土に引き渡せるようにする「逃亡犯条例」改正案をきっかけにした一連の抗議運動は、香港政府が法案の改正作業を停止したにもかかわらず、警察に火炎瓶を投げ込むなど、過激化の傾向を示している。

 この状況に対し、中国政府を批判することで知られているアーティスト、艾未未(アイ・ウェイウェイ)は、デモの様子を記録するため、研究者チームを香港に派遣。記録した素材をアート作品やドキュメンタリーの制作に使う予定だという。アイは「BBC」のラジオインタビューでこう語る。「私たちは、本当に最前線にいます。私たちは人権や言論の自由のために戦い、大切にしているすべての価値のために戦っています」。

アイ・ウェイウェイ Courtesy of Ai Weiwei Studio and the Gardiner Museum

 また、拡大する香港デモに対して中国当局は武装警察を周辺地域に集結しており、鎮圧を行う可能性があると考えられている。それについてアイは、「1989年、(中国政府)が戦車を使って天安門広場での非常に平和的なデモを鎮圧し、数百人を殺害したことを忘れてはなりません。彼らは西側が干渉しないことを知っており、西側が『通常通りのビジネス』を望んでいることを知っています」と指摘している。

 なお、「The Art Newspaper」によると、アイは、来年イタリアで公開される予定の、ジャコモ・プッチーニのオペラ『トゥーランドット』の新作を手がけている。そこに、香港の深刻化する政治危機も入れるという。「デモは間違いなくオペラに反映されます」と語るアイは、「プッチーニの物語を通して、現在の文化的、政治的闘争が表現されて、現代世界に溶け込んだオペラになるでしょう」と述べている。

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