文化庁が「あいちトリエンナーレ2019」への補助金不交付を決定した問題で、同庁がそのプロセスにおいて、外部審査員の意見聴取を行わず、文化庁内部のみで審査していたことがわかった。「文化・芸術分野における公的資金助成外部審査員従事者等有志」が明らかにした。
「あいちトリエンナーレ2019」は、文化庁が公募した「日本博を契機とする文化資源コンテンツ創成事業(文化資源活用推進事業)」で採択され、約7800万円が交付される予定だった。この採択に携わった任期中の6名(氏名未公表)に対し、採択後の不交付決定前の審査では意見聴取をいっさい行わず、文化庁内部のみですべての審査を行ったという。
有志は声明の中で、「『採択後の全額不交付決定』という事自体が異例ですが、このような重大な決定にあたり、任期中の外部審査員からの意見聴取をあえて行わなかったことはさらに異例中の異例です」と批判。
外部審査員を入れることで公的資金助成の公正性を保つ「公正決定原則」の観点からも不適切であり、「公正決定原則に反する不適切な審査がこのまま前例として継続される、あるいは広く行われているかのような誤解が拡散すれば、本件補助金の執行はもちろん、これまで適切な公的資金助成の運営に尽力してきた外部審査従事者、ひいては広く文化行政や公的資金助成への国民の信頼を失墜させる」と懸念を表明している。
なおこの有志には、2019年10月1日19時現在で149名が名を連ねている。