文化庁が不交付を決定した「あいちトリエンナーレ2019」に対する補助金。この補助金は、文化庁の「文化資源活用推進事業」より拠出される予定だった。
「文化資源活用推進事業」とは、「日本博を契機とする文化資源コンテンツ創成事業」のことで、文化庁は今年3月1日から3月11日までの期間で補助対象事業を募集。文化庁は3月8日に愛知県から応募書類を受理し、7829万円の採択額を決定していた(採択件数は全部で26件、総採択額は11億3200万円)。
文化庁のウェブサイトによると、この「日本博を契機とする文化資源コンテンツ創成事業」の目的は次のようになっている。
「日本博」の開催を契機として、各地域が誇る様々な文化観光資源を体系的に創成・展開するとともに,国内外への戦略的広報を推進し、文化による「国家ブランディング」の強化、「観光インバウンド」の飛躍的・持続的拡充を図ります。
この事業背景にある「日本博」とは、首相官邸のもと、「日本の美」総合プロジェクト懇談会が推進してきた事業で、同懇談会は当初、故・津川雅彦が座長を務めていた(その後、岡田美術館館長・小林忠が座長に就任)。
現在、「日本博」の企画立案・実施等については、有識者の意見を踏まえた検討を行うための「日本博」企画委員会が設置されており、メンバーは河村潤子(独立行政法人日本芸術文化振興会理事長)、島谷弘幸(九州国立博物館長)、高階秀爾(大原美術館館長)など12名(2019年2月28日時点)。
日本博の開催予定は2020年だ。東京オリンピック・パラリンピックの開催を機に、「『日本の美』を体現する美術展・舞台芸術公演・文化芸術祭等を全国で展開」することを目指しており、20年3月中旬には東京国立博物館でオープニングセレモニーの開催が予定されている。
この日本博開幕を前に、補助金不交付を決定した文化庁。大村秀章愛知県知事は、今回の不交付について裁判で争うことを表明しており、不交付決定撤回を求める署名も90000人(9月30日11時現在)を超えている。「あいちトリエンナーレ2019」への不交付決定が日本博にどの程度の影響を与えるのか現時点では不明だが、ゼロとは言えないだろう。