ベルリンを拠点に世界地で活動を続けるアーティスト・塩田千春の過去最大規模の個展「塩田千春展:魂がふるえる」。六本木の森美術館で開催中の本展が7月11日、入館者数10万人を突破したことがわかった。(六本木ヒルズ展望台 東京シティビューとの共通チケット)
塩田千春は1972年生まれ。国内ではこれまでに「私たちの行方」(丸亀氏猪熊弦一郎現代美術館、2012)、「ありがとうの手紙」(高知県立美術館、2013)などの個展を開催。また、キエフ国際現代美術ビエンナーレ(2012)、シドニー・ビエンナーレ(2016)といった国際展に参加し、2015年には第56回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館代表として《掌の鍵》を展示した。
自分の身体と作品を分かちがたい一体のものとしてとらえつつ、身体を作品に表出させてこなかった塩田。これまで一貫して「不在のなかの存在」をテーマとし、物理的には存在しない、記憶や夢のなかだけに存在するものの気配やエネルギーにかたちを与える制作を行ってきた。
しかし一昨年に癌の再発を告げられ、治療プロセスに機械的に従うなかで「魂はどこにあるのか」という問いが浮かんだという。その過程で身体がばらばらになるような感覚に襲われた塩田は、壊れた人形のパーツを集め、そこに自身の手足を鋳造した作品の制作を開始。塩田の集大成となる本展では、新作インスタレーションを中心に生きることの意味や人生の旅路、魂の機微が表現されている。
開幕からわずか22日目で入場者数10万人を突破した本展。会期終盤には50万人を確実に超える見込みの勢いだ。