ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーが監督を務めた全14話、14時間58分におよぶテレビ映画『ベルリン・アレクサンダー広場』(原題:Berlin Alexanderplatz、1980)の国内上映権が終了することを受け、アップリンク吉祥寺が本作の日本最終上映を実施することを決定した。
ニュー・ジャーマン・シネマの旗手として知られるファスビンダーが80年に発表した本作。原作はアルフレート・デーブリーンが1929年に発表した同名小説だ。本作の舞台である20年代末のベルリンは、第一次大戦敗戦の痛手により、失業者が増え犯罪が横行し、ナチスと共産主義者の対立も過激さを増していた。
いっぽうで同時代は、ベルリンがヨーロッパ有数の大都市として花開いた時代でもある。本作は、そんな激動の時代を「普通」を目指したひとりの男、フランツ・ビーバーコップがたどる受難に満ちた物語となっている。
フランシス・フォード・コッポラやマイケル・マン、トッド・ヘインズ、タル・ベーラなど数々の映画作家を魅了してきたファスビンダーの集大成的本作。日本では2000年に劇場初公開、その後13年にデジタルリマスター版が封切りされた。ヒューマン・ドラマを通じて戦間期の混迷に揺れるベルリンを描いた本作を、ぜひ劇場で体験してほしい。