スイス最大の銀行であり、アート・バーゼルなどのアートフェアのパートナーとしてアート界で大きな影響力を持つUBS。同社が、ニューヨークのミッドタウンにあるヘッドクォーターに初のパブリック・アートスペース「UBS Art Gallery」をオープンした。そこで、同社のアートコレクションを紹介する特別展や常設展示を行っている。
UBSアートコレクションのグローバルリーダーを務めるメアリー・ロゼルは、「(UBSの)コレクションには、過去半世紀の象徴的な作品や、現在の人々の欲求や関心を表現する新たな収蔵を含む、世界中の文化を代表する豊富な作品が揃っています」とし、「その使命は、私たちの時代のもっとも重要なアーティストやアイデアをとらえることであり、私たちはいま、それらの作品を一般の人々と共有する専用の展示スペースを持つことを光栄に思います」とコメントしている。
こけら落としの展覧会では、1960年代以降の同コレクションの歴史と進化を考察する「歴史と瞬間:UBSアートコレクションからの作品(A History and a Moment: Works from the UBS Art Collection)」展を開催。エルズワース・ケリーやシンディ・シャーマンなどのベテランアーティストの作品に加え、新たに収蔵した、ディン・Q・レやザビエラ・シモンズなどのアーティストの作品など、60年以上にわたり形成してきたコレクションを紹介している。
いっぽう特別展と並び、ロビーには同コレクションからの作品を常設展示している。そのなかには、高光沢で鮮やかな曲線の彫刻で知られるフレッド・エバーズリーによる放物線のレンズ、色と感情で溢れる大胆な絵画で知られるハワード・ホジキンによる混合技法のプリント、そしてサラ・モリスの巨大な壁画、エバ・ロスチャイルドのミニマリズムの彫刻、フランク・ステラの多色金属のレリーフなどがある。
また今秋、アメリカの消費者文化やカリフォルニアの風景を独自な手法で描写することで知られているアーティスト、エド・ルシェの個展を開催予定であるほか、2020年以降、UBSのパートナー機関とのコラボレーションも計画。このスペースをトークイベントなど対話やコミュニケーションのプラットフォームとしても使用する。
ニューヨークの文化的景観に新しい活力を届けるUBSのアートスペース。今後の動向に注目したい。