昨年11月、デイヴィッド・ホックニーが9031万2500ドル(約99億円)という落札額で現存アーティストのオークションにおける過去最高額を記録したのは記憶に新しい。そして今週、この記録がアメリカのアーティスト、ジェフ・クーンズによって更新された。
5月15日にクリスティーズ・ニューヨークで開催された戦後・現代美術セールでは、クーンズの彫刻作品《ラビット》(1986)が5000〜7000万ドルの予想落札価格をはるかに超え、9107万5000ドル(約100億円)という高額で落札された。
1986年に制作された本作は、3つのエディションのうちの2番目の作品で、バルーン・アニマルのような処理を施した金属性の彫刻。92に、2017年に死去したアメリカの出版者であるサミュエル・ニューハウス・ジュニアによって購入された。ニューハウス家のアドバイザーであるトビアス・マイヤーは、「ニューハウス家を代表してクリスティーズの素晴らしい仕事に感謝したい。この結果には満足しています」とコメントしている。
いっぽう、5億3897万1750ドル(約590億円)の総売上を記録した同セールのもうひとつのハイライトは、ロバート・ラウシェンバーグ(1925〜2008)の絵画作品《Buffalo II》。予想落札価格が5000万〜7000万ドルであった同作は、それを上回る8880万5000ドル(約97億円)の価格で落札された。
1964年に制作されたこの作品は、同年のヴェネチア・ビエンナーレに出品。ラウシェンバーグが初めてのアメリカ人のアーティストとしてヴェネチア・ビエンナーレ絵画部門の最優秀賞を受賞し、世界的な名声を得るきっかけにもなった。
また、ルイーズ・ブルジョワの彫刻作品《Spider》が3205万5000ドル(約35億円)で落札。ブルジョワのオークションにおける過去最高額と、女性アーティストによる彫刻作品の過去最高額を更新した。
そのほか、アンディ・ウォーホルのシルクスクリーン作品《Double Elvis [Ferus Type]》(5300万ドル)やロイ・リキテンスタインの絵画《Kiss III》(3113万5000ドル)など1960年代のポップ・アート作品も、高い数字をはじき出した。