イギリスのメディア、ザ・ガーディアンによると、大手石油会社「シェル」が、ロンドンのナショナル・ギャラリーとの12年にわたったスポンサー契約を終了した。同社は、今年1月にパートナー機関との契約を再検討した結果、ナショナル・ギャラリーとの契約を更新しないことに決めたという。
2012年、北極で石油を掘削しようとするシェルに対し、アクティビスト集団・グリーンピースはナショナル・ギャラリーの屋根に、「それは油(石油)絵ではない(It’s No Oil Painting)」と書かれたバナーを掲げ抗議活動を実行。それ以来、ナショナル・ギャラリーに対する抗議が多発していた。
化石燃料会社の資金とアートとのつながりを断つため、数年をかけてナショナル・ギャラリーをはじめとする様々な美術館に抗議活動を行ってきたアクティビスト集団。
これらの抗議活動により、16年にロンドンのテートは石油大手「BP」との26年にわたったパートナーシップを終了し、今年8月にアムステルダムのゴッホ美術館とハーグのマウリッツハイス美術館はシェルとのスポンサーシップを終了した。
しかし、BPは依然として大英博物館やナショナル・ポートレート・ギャラリー、ロイヤル・オペラ・ハウス、ロイヤル・シェイクスピア・シアターに資金援助を継続。また、シェルは美術館の代わりに、国立科学産業博物館やマンチェスター・サイエンス・フェスティバルなどに資金援助を新たに提供するなど、石油大手と文化の蜜月は今後も続きそうだ。