10月5日、ロンドンのサザビーズで100万ポンド(約1.5億円)で落札と同時に額縁に隠されていた装置で自ら切り刻まれたバンクシーの作品《Girl with Balloon》。
その後、無事購入が決まり作品名は《Love is in the bin(愛はごみ箱の中に)》と改称されるなど、ひとまず終息を迎えたかに思われた騒動だが、ここへきてバンクシーが新たな動画を公式サイトで発表した。
「Shred the Love -the director's cut-」と題されたこの動画はまず、ドリルやアラートの音が鳴り響くスタジオでの、特殊な額縁の制作風景からスタート。その後シーンはサザビーズのパーティ会場へと移った後、緊張感のあるオークションの様子をとらえる。そして、作品が切り刻まれ、退場していく話題の場面を鮮明に映し出していく。
この動画で注目したいのは最後の「おまけ」シーンだ。暗転した画面には「In rehearsals it worked every time...(リハーサルでは毎回成功していたのに…)」という文字が。つまり、バンクシーは作品を「すべて切り刻みたかった」ということがこの動画では示されている。
今回の出来事の後、「作品をすべて切り刻まずわざと半分残すことで、作品としての価値を担保している」「中途半端」などのSNS上の声をはじめ、バンクシーに向けられていた批判。この動画はそれらの視線に対する弁明のようにも見える。
作品の名称変更を経て終息を迎えたに思われた今回の騒動だが、バンクシーはやすやすと幕を下ろす気はないのかもしれない。