国立国際美術館で特別展「コトバの重なる場所」が開催。言語や文化が交錯する「コンタクト・ゾーン」から歴史と記憶を見つめる

大阪・中之島の国立国際美術館で、特別展「コトバの重なる場所」が開催される。会期は12月1日~2027年3月14日。

ツァオ・フェイ《マトリョーシカ・バース》(2022) 国立国際美術館 © Cao Fei, 2026 Courtesy of the artist, Sprüth Magers and Vitamin Creative Space

 大阪・中之島の国立国際美術館で、所蔵コレクションを活用した特別展「コトバの重なる場所」が開催される。会期は12月1日~2027年3月14日。担当は同館研究員の武本彩子。

言語や文化の交わる「コンタクト・ゾーン」に目をむける

 翻訳アプリの機能向上により、誰もが複数の言語を手軽に扱えるようになった現代。母語に限らずなめらかな文章を容易に生み出せるようになり、異文化理解における言語の壁は格段に下がりつつあるように見える。

 しかし、言語や言葉はたんなる意思疎通の道具に留まらない。文化や芸術をかたちづくり、我々の思考や意識の有り様をも揺り動かす力をもつ。そして、異なる「コトバ」をもつ人々や集団が出会うとき、その接触が前向きな発見や変化をもたらすこともあれば、衝突や対立、支配や抑圧といった非対称な摩擦を繰り返してきた歴史も忘れてはならない。

平敷兼七《共通語を使いましょう 伊平屋》(1972) 個人蔵
下道基行《台中、台湾 『torii』より》(2006-12) 国立国際美術館 © Motoyuki Shitamichi

 本展では、言語や文化が交錯する「コンタクト・ゾーン」を切り口に、写真や映像作品を通じてアジアの諸地域を見つめる。作品内で取り上げられるのは、植民地の拡大や戦争、国家間の対立による分断を経験してきたアジアのなかでも、言語や文化の接触から特異な歴史をたどった諸地域だ。その諸相を手がかりに、現在我々が生きる場所を考察する契機を生み出すという。

 出品作家は、平敷兼七、下道基行、ツァオ・フェイ、前田藤四郎、村岡三郎、山城知佳子、上原沙也加、小泉明郎、イリヤ・カバコフ、北島敬三、ナタリア・パパエヴァ、ムン・キョンウォン&チョン・ジュン、竹川宣彰、今津景、ホー・ルイアン、キャリー・ヤマオカ。

上原沙也加《「平和の島」より ばらばらの時間》(2024 / 25) 国立国際美術館 © Sayaka Uehara, Photo courtesy of MISA SHIN GALLERY
北島敬三《「USSR 1991」より 平和広場のストリート・パフォーマー サンクトペテルブルク、ロシア共和国 1991年9月27日》(1991 / 2026) 作家蔵 Courtesy of the artist ©KEIZO KITAJIMA
今津景《WEWE》(2022) 国立国際美術館 Courtesy of the artist and ANOMALY

編集部