千葉・佐倉の国立歴史民俗博物館で、企画展示「アイヌ民族と博覧会 ―150年の経験―」が開催される。会期は10月6日〜11月29日。本展は北海道・白老の国立アイヌ民族博物館との共同企画であり、同館では6月20日~8月23日での開催となる。
1872年の湯島聖堂博覧会にアイヌ資料が初めて出品されてから、2025年の大阪・関西万博に至るまで、およそ150年にわたってアイヌ民族は様々なかたちで「博覧会」に関わってきた。博覧会は知識や文化を広めるいっぽうで、人や文化を比較し、序列化してしまう場としての側面ももつ。
アイヌ民族はこういった場への参加にあたって、差別や偏見、優越感を含むまなざしのもとで展示されることもあった。そこには多様な思いや選択、困難や葛藤があったことは想像に難くない。

本展は、工芸品、写真、絵はがき、書簡、衣装、映像などの約200点に及ぶ資料を展示するほか、博覧会に関わった一人ひとりの「声」を紹介。その経験や思い、交錯する関係性に目を向け、個人にとって博覧会がいかなる場であったのかを考えるものとなる。これまで開催されてきた博覧会に出展・参加したアイヌ民族やその仲介者、さらには「見る側」と「見られる側」の相関関係に焦点を当て、博覧会におけるアイヌ民族の150年にわたる足跡をたどることを試みる。


アイヌ民族と博覧会の関係性、そして個人の「声」に耳を傾ける
会場は全4章立てで構成される。「第1章 アイヌ工芸品展示の草創期から博覧会へ」では、アイヌ民族による工芸品と博覧会の関係性を紐解く。和人から見た「異域」の産物として注目されたそれらは、明治初期になると北海道物産の一部として組み込まれ、和人にとっての「開拓」の成果や可能性、殖産興業の文脈のなかで語られていくこととなる。


続く「第2章 アイヌ民族の出場」では、明治末から昭和戦中期までにおいて、アイヌ民族が「人間展示」に出場したことを取り上げる。これは、近代の学術的視線や植民地拡大を背景に、生身の人間やその生活を観覧の対象とするために実施されたものであり、そこには展示する側がアイヌ民族を「未開」と見なすまなざしがあった。他方で、出場に際しては、興行主や研究者、自文化の普及や教育施設への寄付募集を目的としたアイヌの出場者など、様々な立場や思惑、関係性が複雑に絡み合っていたことを本章では描く。
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