東京オペラシティ アートギャラリーでダン・グレアム大規模展が2026年に開催。多面的実践を再考する【2/2ページ】

 同時期には、寺田コレクションによる収蔵品展「秋の風景 収蔵品展088」、若手作家を紹介する「project N 104 田中藍衣」も開催される。

 寺田小太郎の収集による寺田コレクションには、日本画を中心とした作品が多く、武蔵野の自然を愛し、自ら造園も手がけた寺田の自然観や、「日本的なるもの」を問い続けた思想が反映されている。本展では会期にあわせ、秋の情景を想起させる作品を選りすぐって紹介する。

松本祐子 月の雫 1995 撮影=斉藤新

 「project N 104」では、日本画の技法を基盤に抽象表現を追求する田中藍衣に焦点を当てる。粒子の粗い岩絵具を用いることで、混色しても個々の色が自立して存在し続ける素材特性を活かし、制約のなかから生まれる必然的な表現を探る姿勢が特徴だ。静謐でミニマルな画面の背後には、社会のなかで自身の存在を問い続ける作家のまなざしが宿っている。

田中藍衣 Your Movement 2025 木製パネルに岩絵具 90.0×140.0cm