今週末に見たい展覧会ベスト14。国宝「源氏物語絵巻」の全点公開から「時代のプリズム」展、弘前の「杉戸洋」展まで

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010」展示風景より、ヤノベケンジ「アトムスーツ・プロジェクト」(1997)の作品群 撮影=編集部

もうすぐ閉幕

「ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ」(東京都写真美術館

展示風景より

 東京・恵比寿の東京都写真美術館で、総合開館30周年記念「ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ」が12月7日まで開催されている。

 ペドロ・コスタは、1959年ポルトガル・リスボン生まれの同国を代表する映画監督のひとり。展覧会名である「インナーヴィジョンズ」は、コスタが10代のころに大きな影響を受けたという、スティービー・ワンダーの同名のアルバムから取られている。本展は、コスタがこれまで手がけてきた映画を解体し、展覧会として個人の体験へと還元しようとする試みであり、現実や社会の壮絶さ、あるいは寄る辺なさに対峙するものである。会場レポートはこちら

会期:2025年8月28日~12月7日
会場:東京都写真美術館
住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
電話番号:03-3280-0099
開館時間:10:00~18:00(木金〜20:00) ※入館は閉館30分前まで
休館日:月(祝休日の場合は翌平日) 
料金:一般 800円 / 学生 640円 / 高校生・65歳以上 400円 / 中学生以下 無料

在原業平生誕1200年記念特別展「伊勢物語―美術が映す王朝の恋とうた―」(根津美術館

在原業平像 室町時代 16世紀 根津美術館蔵

 根津美術館で開催中の「在原業平生誕1200年記念特別展 伊勢物語―美術が映す王朝の恋とうた―」が、12月7日に閉幕する。

 在原業平は、平安時代前期に活躍した天皇の孫にあたる貴族であり、和歌に優れた文化人として知られている。恋愛にまつわる多くの逸話とともに、業平の和歌は『古今和歌集』をはじめとする勅撰和歌集に多数収録されている。

 本展では、業平の和歌を中心に構成された短編物語集『伊勢物語』の根幹となる作品に焦点をあて、書、絵画、工芸の諸作品において和歌が果たす役割に注目。その表現の豊かさと造形美の多様性を通して、王朝文化における恋とうたの世界を紹介している。

会期:2025年11月1日〜12月7日
会場:根津美術館
住所:東京都港区南青山6-5-1
電話番号:03-3400-2536 
開館時間:10:00〜17:00 ※入場は閉館の30分前まで 
休館日:月
料金:一般 1600円 / 学生 1300円 ※オンライン予約(100円割引)推奨

「髙田安規子・政子 Perspectives この世界の捉え方」(資生堂ギャラリー

展示風景より、《Relation of the parts to the whole》(2025) 写真提供=資生堂ギャラリー

 東京・銀座の資生堂ギャラリーで開催中の「髙田安規子・政子 Perspectives この世界の捉え方」も、12月7日までの会期となっている。

 髙田安規子・政子は、一卵性双子のユニットで活動するアーティスト。身近な素材を用い、空間や時間の「スケール(尺度)」をテーマに作品を制作している。作品は、数学や物理学的アイデアを背景に繊細な手仕事や緻密な構成で生み出され、アートと科学を融合させた独自の感性により表現されているのも特徴だ。

 本展を実現するにあたり、2人は昨年、静岡県掛川市にある「資生堂企業資料館」「資生堂アートハウス」を訪れ、資生堂の社名の由来である易経(えききょう)の一節「至哉坤元 万物資生(いたるかなこんげん ばんぶつとりてしょうず)」(大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか。すべてのものは、ここから生まれる)に出会った。会場では、自分たちの自然観とも重なりあう「万物資生」の考えを起点に、生命やその成り立ち、進化の歴史を時間の層として描き出しながら、自然の法則で宇宙までつながる時空間を、スケールとともに巨視的・微視的にとらえ可視化することを試みている。会場レポートはこちら

会期:2025年8月26日~12月7日
会場:資生堂ギャラリー
住所:東京都中央区銀座 8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
電話番号:03-3572-390 
開館時間:11:00~19:00(日〜18:00) 
休館日:月(祝日にあたる場合も休館)
料金:無料