今週末に見たい展覧会ベスト11。藤本壮介の建築展から横尾忠則の個展、正倉院にまつわる展示まで【2/4ページ】

「カルン・タカール・コレクション インド更紗 世界をめぐる物語」(東京ステーションギャラリー

白地チューリップ虫文様更紗裂 1700〜30年頃 Karun Thakar Collection, London. Photo by Desmond Brambley

 東京ステーションギャラリーで開催中の「カルン・タカール・コレクション インド更紗 世界をめぐる物語」展が11月9日までの会期となっている。

 インドで生まれた更紗はその誕生から数千年の歴史のなかで、衣服や宗教儀式、室内装飾など様々な用途に使われてきた。貿易を通して他国の要望に応じたデザインを自在に展開しつつも、力強いインドの美意識を内包するこれらは、装飾美術から服飾まで世界中のあらゆる芸術に多大な影響を与えた。

 本展では、インド国内向けにつくられた最長約8メートルの完全なかたちで残る更紗の優品から、アジアとヨーロッパとの交易で生み出されたデザインを伝える掛布や服飾品、そして国内のコレクションも交えた日本での展開を伝える貴重な作品を展覧。また、世界屈指のコレクター、カルン・タカールのコレクションも日本で初めて紹介している。

会期:2025年9月13日〜11月9日
会場:東京ステーションギャラリー
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1
電話番号:03-3212-2485 
開館時間:10:00〜18:00(金〜20:00) ※入館は閉館30分前まで 
休館日:月
料金:一般 1500円 / 大高生 1300円 / 中学生以下 無料

「ミケル・バルセロ:信楽焼」(ファーガス・マカフリー東京

Fish and Crabs(⿂と蟹) 2023 ⼟ 49x45x47cm Photo by Ryuichi Maruo

 東京・北青山にあるファーガス・マカフリー東京で、スペインを代表する現代アーティスト、ミケル・バルセロによる個展が11月9日まで開催中だ。

 若き⽇からアフリカやアジアを旅し、マリのドゴン族の⽂化や⽇本の縄⽂⽂化などにも親しんできたバルセロ。その知識をもとに、絵画、陶芸、彫刻において独⾃のスタイルを確⽴し、荒削りな⼒強さと圧倒的な物質性を備えた作品を⽣み出してきた。その絵画作品は、1981年のサンパウロ・ビエンナーレ、82年のドクメンタ7をきっかけに世界的に知られるようになる。いっぽう、94年のアフリカ・マリ滞在では、ドゴン族の伝統的な⼟器に触れ、初めて⼟を使った制作をスタート。これまで4000点を越える陶作品を⽣み出し、あらゆる地域の陶芸について学んできたという。

 バルセロにとって同ギャラリーにおける初の発表となる本展では、2023年に信楽の陶芸家・古⾕和也との共同制作から⽣まれた14作品が展示されている。アーティストのインタビューはこちら

会期:2025年9月9日〜11月9日
会場:ファーガス・マカフリー東京
住所:東京都港区北青山3-5-9
開館時間:11:00~19:00 
休館日:日月祝(11月9日は開廊) 
料金:無料

「『白樺』 日本における西洋美術の導入と広がり」(茅ヶ崎市美術館

岸田劉生『白樺 十週年記念号』第10年4月号表紙 1919 紙に木版多色 茅ヶ崎市美術館蔵

 武者小路実篤や志賀直哉ら学習院同窓を中心に、1910年から23年まで刊行された雑誌『白樺』。その展覧会「『白樺』 日本における西洋美術の導入と広がり」が、茅ヶ崎市美術館で11月9日まで開催されている。

 明治から大正にかけての日本は西洋から多様な文化や価値観・思想が流入し、印刷技術も飛躍的な発展を遂げた時代であり、多彩な雑誌が次々と生まれた。そのなかで『白樺』は、実篤や直哉ら自身の小説や批評を発表する場であると同時に、レンブラント・ファン・レインジョルジュ・ルオーといった西洋の画家や作品を図版や評論を通して紹介。その芸術表現の背景にある精神性にも焦点を当てた点が大きな特徴だ。

 本展は、小説家でありながら美術へも強い関心を抱き自身も絵筆を取っていた実篤と、『白樺』の表紙を多く手がけた岸田劉生にそれぞれ焦点を当て、近代日本における西洋美術受容の一側面を探る。また、貴重な実篤の油彩画のスケッチブックや、白樺派が主催した西洋美術の展覧会や同時期に生まれた美術雑誌、文芸雑誌なども紹介されている。

会期:2025年9月2日〜11月9日
会場:茅ヶ崎市美術館
住所:神奈川県茅ヶ崎市東海岸北1-4-45
開館時間:10:00〜17:00 ※入館は16:30まで 
休館日:月
料金:一般 800円 / 大学生 600円 / 市内在住65歳以上 400円