武蔵野美術大学で「甦るポストモダン——倉俣史朗、小松誠、髙﨑正治、デザインの人間主義」が開催。ポストモダンの「異議申し立て」の精神をデザインから問う【3/4ページ】

 また、本展では政治や労働運動とポストモダンとの関わりにも着目する。20世紀後半にかけては、1968年のパリ五月革命をはじめとして、ベトナム反戦運動とヒッピー文化、全共闘運動など、世界各地で若者と労働者がそれまでの権威や秩序に「異議申し立て」を行った。これに前後して、後のポストモダン・デザインにつながるラディカルな表現が現れている。合理的・機能的なものを信じたモダニズムの楽観的な進歩主義への反省から、建築家やデザイナーたちは、個人の物語の広がり、歴史や社会への批評を備えた新たな造形を模索した。

エットレ・ソットサス シックスティーン、フォーティーン、サーティーン、フィフティーン 1986 木・ガラス 219.5×50×50cm、206×50×50cm、201×50×50cm、193×50×50cm

 会場では、パリ五月革命に大きな影響を与えたギー・ドゥボールの著作『スペクタクルの社会[原題:La Société du Spectacle]』を基点に制作された映像作品や、若手建築家グループが誌上で建築の解体を志した雑誌『アーキグラム』など、世界で同時的に起こった対抗文化の諸相を展示。また1968年前後のラディカルな表現をきっかけとして展開した、ポストモダンの多様な表現も合わせて紹介する。

編集部