武蔵野美術大学で「甦るポストモダン——倉俣史朗、小松誠、髙﨑正治、デザインの人間主義」が開催。ポストモダンの「異議申し立て」の精神をデザインから問う【2/4ページ】

 本展ではまず、現状に対する「異議申し立て」の精神こそがポストモダンの本質であると仮定し、そのルーツとして2つの運動に着目。1つは18世紀アメリカのシェーカー教徒による信仰生活のデザイン、もう1つは19世紀イギリスにおいて手仕事と中世ギルド(職工組合)への回帰を唱えたウィリアム・モリス(1834〜1896)によるアーツ・アンド・クラフツ運動だ。

シェーカー教徒 ストレートチェア 1700年代後半(再制作1998) ハードメープル・キャンバステープ 109×47×43cm

 いずれも、都市を中心とした機械による大量生産と経済効率に傾く大衆社会に対して労働=美=共同体を求めており、本展ではここにポストモダンのルーツを見る。2つの運動とその結実としての用品の数々の展示から、ポストモダンの時代へとその態度がつながっていく思想を考える。

ウィリアム・モリス他『ジェフリー・チョーサー作品集』 1896 43×29.5cm

編集部