モネ没後100年。オルセー美術館から世界最高峰のモネ・コレクションが一挙来日【5/5ページ】

 セクション11「池の中の世界─睡蓮」では、モネの終の住処となるジヴェルニーでの生活以降の作品が紹介される。庭のプランニングも自身で行っていたモネは、自らの意思によりつくられた庭を描く、という新たな創造活動を始めた。1911年に妻のアリスを、1914年2月には息子ジャンを亡くした後、1914年に制作を再開したモネは、《睡蓮》の大作に着手。本章では、様々に展開した睡蓮の作品を展示するとともに、同時期に同主題を工芸作品で表現しようと試みたエミール・ガレや、ドーム兄弟によるアール・ヌーヴォーの工芸作品もあわせて展示される。

クロード・モネ ノルウェー型の舟で 1887頃、油彩・カンヴァス、オルセー美術館蔵
Photo © GrandPalaisRmn (musée d’Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF
クロード・モネ 睡蓮の池 1907、油彩・カンヴァス、石橋財団アーティゾン美術館蔵
クロード・モネ 睡蓮の池、緑のハーモニー 1899、油彩・カンヴァス、オルセー美術館蔵
Photo © GrandPalaisRmn (musée d’Orsay) / Stéphane Maréchalle / distributed by AMF
エミール・ガレ 静淵 1889-90、蓋付壺、オルセー美術館蔵
Photo © Musée d’Orsay, Dist. GrandPalaisRmn / Jim Purcell / distributed by AMF

 セクション12「映画の中の風景ー動きのある風景」では、現代作家アンジュ・レッチアがモネにオマージュを捧げる映像作品が展示される。 1952年生まれのアンジュ・レッチアは、パリとコルシカ島を拠点に活動する映像作家兼美術作家であり、1986年にはヴェネツィア・ビエンナーレのフランス館においてフランス代表として出展経験をもつ。睡蓮の池が着想源となる《(D’) après Monet(モネに倣って)》は、モネ自身、彼の家、睡蓮、そして「水と反射の風景」が、自然の観察と幻想のあいだで、見る者の心に残る連なりを形づくる、没入型の映像作品。日本では初公開となる。 キュレーションは、オランジュリー美術館のセシル・ドゥブレ元館長(現、パリ国立ピカソ美術館館長)。

アンジュ・レッチア (D’) après Monet(モネに倣って) 2020  © ADAGP, Paris 2022 © Ange Leccia

 最後のセクション13では「『風景のなかの生』 ーモネの生涯」と題され、ピエール=オーギュスト・ルノワールによる《クロード・モネ》も展覧される。

 なお、本展を記念して、シルヴィー・パトリ(オルセー美術館学芸員、本展監修者)による土曜講座や、新畑泰秀(アーティゾン美術館学芸員)によるカンファレンスといった関連プログラムも開催される予定だ。

編集部