展覧会タイトルに用いられている「胞衣(えな)」は、日本語の古語で、母体の胎児を包んでいる羊膜と胎盤を表す。また、再生のシンボルや生死を超えて我々を包みこむ世界そのもののメタファーとして、世界各地で信仰されてきた。
本展では会場全体を巨大な胞衣に見立て、その内奥に「祈り」の場を立ち上げる。大小島は「祈り」について次のように語る。「私たちにとって『祈り』とは、あるひとつの世界との関わり方です。生きていくなかで人はさまざま不条理や矛盾に見舞われますが、『祈り』とはそうしたなかで感じる痛みに対し、たんにその解決や克服を目指していくのではなく、そうした『痛み』を所与のものとして、その痛みとともに生きていこうとする、ひとつの姿勢です」。
大小島が経験した「出産」という営みに関係づけ、いかなる状況においても命が生成されていくというプロセスへ捧げる祈りの世界を表現する本展は、大小島にとっての劇場初の個展となる。
なお関連イベントとして、舞踏家・松岡大が大小島真木のインスタレーション空間内で行うパフォーマンスや、アーティストトーク、岩手県の遠野において郷土芸能と現代カルチャーを織り交ぜ、目に見えないものへ想像をめぐらせるイベント「遠野巡灯篭木(トオノメグリトロゲ)」とのコラボレーションも開催される。
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