アーティスティック・ディレクターは東京藝術大学名誉教授の秋元雄史が務める。秋元は本展のテーマについて、次のように説明した。
「『工芸的なるもの』とは、民藝運動の主唱者として知られる柳宗悦(1889〜1961)による論考『工芸的なるもの』から取られている。柳は車内アナウンスの抑揚や理髪師の鋏さばきを『工芸的なやり方』だと記し、人の行為あるいは態度にさえ工芸性を見出した。柳にとって工芸的なものとは、個人の自由な表現というよりも、社会と美意識や様式の接点であり、そこに美や価値が宿ると考えていた。いっぽうで、社会全体が共有してきたものが現代において失われていたとしたら、柳の提唱した『工芸的なるもの』という概念は通用しなくなっているともいえる。今回のテーマは、ものごとを『工芸的』ととらえることで、現代社会とのつながりや、オルタナティブな領域への広がりを意識するという志向を表現したものとなる」。




















