東京・銀座のギャラリー小柳では12月18日〜2025年3月8日の会期で、マーク・マンダースによる個展「Silent Studio」が開催される。
マンダースは1980年代後半から、彫刻や家具、日用品や建築部材などを「想像上の」部屋に、緻密に練られた配置図に基づいて配するインスタレーションを制作。それらはすべて作家が「建物としてのセルフポートレイト」と呼ぶライフワークの断片であり、時代や様式を超えて普遍的な美しさを醸し出す彫刻や、実物よりわずかに縮小された家具などを介して、作家自身の抽象的で個人的な思考や感情を、空間のなかで視覚化してきた。日本では2021年に東京都現代美術館で国内初の美術館個展「マーク・マンダース ─マーク・マンダースの不在」を開催し、大きな注目を集めたことは記憶に新しい。
「Silent Studio」と題された本展覧会では、ギャラリーの空間を半透明の薄いビニールで囲い、アーティストのスタジオに一変させるという。展示空間の中央には、《Bonewhite Clay Head with Two Ropes》(2018-2024)が配され、作業台の上に置かれた乾燥してひび割れたかのような彫刻はロープで留められ、いまにも崩れそうな緊張感を与える。これらの作品がスタジオの設えに配されることで、作業の途中であるかのような印象を見る者にもたらすとともに、静かなスタジオに作家がそれまでその場にいたかのような、あるいは長い間放置されたかのように感じさせるだろう。
なお、マーク・マンダースは東京都現代美術館の「開館30周年記念プレ企画 イケムラレイコ マーク・マンダース Rising Light / Frozen Moment」展(12月14日〜2025年3月30日)において、同館所蔵の《椅子の上の乾いた像》(2011-15)が特別なインスタレーションで展示される。こちらもあわせてチェックしたい。