ARTISTS
ソフィ・カル
Sophie Calle
ソフィ・カルは1953年フランス・パリ生まれ。7年間世界各地の放浪を経てパリに戻った79年に、知人や面識のない人が自身のベッドで眠る様子を撮影・インタビューした、写真とテキストからなる初作品《眠る人々》を発表。80年から作家活動を本格化し、「ゲーム」と呼ぶ自身が決めたルールにのっとって制作を行う。作品は自身や他者の親密な体験をテーマとして、テキストと写真の併置、あるいはそこにオブジェ、映像などを組み合わせた手法が特徴。初期の作品に、ヴェネチアのホテルでメイドとして働きながら、宿泊客を観察した《ホテル》(1981)や、偶然拾った手帳に書かれている連絡先にインタビューし、持ち主の印象を浮かび上がらせた《アドレス帳》(1983)など。自己、または他者やその日常を一風変わった視点からとらえた虚実が入り交じる作風で、通念に揺さぶりをかける。生まれつき目が見えない人々に「美のイメージとは何か」と問い、その回答をもとに写真を撮影した《盲目の人々》(1986)では、視覚や美に対する認識を問いかけた。
98年には、ポール・オースターの小説『リヴァイアサン』に登場する芸術家マリアのモデルが自分であると知り、実際にマリアを演じた作品《ダブル・ゲーム》を発表。斬新なコラボレーションで注目を集めた。2003年、ポンピドゥー・センター、マルティン・グロピウス博物館、アイルランド現代美術館、ルートヴィヒ・フォーラムで回顧展が開催。07年には第52回ヴェネチア・ビエンナーレのフランス館代表作家に選ばれ、恋人からのメールを他人に分析させた《ご自愛ください》を展示した。
日本では、1999〜2000年に初個展「限局性激痛」(原美術館、東京)を開催。失恋体験による痛みを、他者のもっとも辛い経験に耳を傾けることで治癒していく過程を作品化したインスタレーション作品《限局性激痛》が世界で初公開された。2019年に同展の再現展示が実現。同年、渋谷スクランブル交差点の街頭ビジョン4面にて、イスタンブールの内陸部に暮らす人々が海を初めて見る様子をとらえた映像作品《海を見る》(2011)が上映された。10年にハッセルブラッド国際写真賞、17年にICPインフィニティ賞を受賞。著書に『本当の話』(平凡社、1999)がある。
98年には、ポール・オースターの小説『リヴァイアサン』に登場する芸術家マリアのモデルが自分であると知り、実際にマリアを演じた作品《ダブル・ゲーム》を発表。斬新なコラボレーションで注目を集めた。2003年、ポンピドゥー・センター、マルティン・グロピウス博物館、アイルランド現代美術館、ルートヴィヒ・フォーラムで回顧展が開催。07年には第52回ヴェネチア・ビエンナーレのフランス館代表作家に選ばれ、恋人からのメールを他人に分析させた《ご自愛ください》を展示した。
日本では、1999〜2000年に初個展「限局性激痛」(原美術館、東京)を開催。失恋体験による痛みを、他者のもっとも辛い経験に耳を傾けることで治癒していく過程を作品化したインスタレーション作品《限局性激痛》が世界で初公開された。2019年に同展の再現展示が実現。同年、渋谷スクランブル交差点の街頭ビジョン4面にて、イスタンブールの内陸部に暮らす人々が海を初めて見る様子をとらえた映像作品《海を見る》(2011)が上映された。10年にハッセルブラッド国際写真賞、17年にICPインフィニティ賞を受賞。著書に『本当の話』(平凡社、1999)がある。