東京都現代美術館で開発好明の大規模個展が開催へ。「ひとり民主主義」からアクションを生み出す

東京都現代美術館で、開発好明の大規模個展「開発好明 ART IS LIVE―ひとり民主主義へようこそ」が開催される。会期は8月3日〜11月10日。

開発好明 ART IS LIVE 2024 撮影=谷岡康則

 東京都現代美術館で、美術家・開発好明(かいはつ・よしあき)の大規模個展「開発好明 ART IS LIVE―ひとり民主主義へようこそ」が開催される。会期は8月3日〜11月10日。

 開発は1966年山梨県生まれで、93年に多摩美術大学大学院美術研究科修士課程を修了。同時期より、日常生活や社会現象など身の回りの出来事への関心を起点に、コミュニケーションを内包、誘発するような表現活動を継続してきた美術家だ。その形態は、絵画、写真、パフォーマンス、インスタレーションの制作のみならず、日々のライフワーク、学校や地域でのワークショップ、毎年3月9日をアートの記念日とする「39(サンキュー)アートの日」の発案・提唱など多岐にわたる。

 そのなかでも継続的に実施しているプロジェクトからは、開発の活動の背景にある哲学を垣間見ることができる。例えば、自分や友達に書いた手紙が1年後に届く《未来郵便局》や、府中市の学校から始めたワークショップ「ドラゴンチェアー」では、子供たちが、他人におもねることなく自己表現した椅子を数十メートルにも連ね、ドラゴンを出現させた。

開発好明 未来郵便局 「ヨコハマトリエンナーレ2011」 特別連携プログラム「新・港村〜小さな未来都市」 (BankART Life III)での展示風景 2011
府中市美術館 開発好明公開制作 共同制作プロジェクト「ドラゴンチェアー」 2008年

 2011年には作家仲間や友人たちとともに、阪神淡路大震災で被災した西日本から東日本大震災と福島第一原発事故の被災地まで義援金を集め移動するチャリティー展覧会「デイリリーアートサーカス」(2011、2012、2013、2014)を実施。被災地域の人々との関わりあいや現地での体験はその後、《政治家の家》(2012〜)、失われてゆく地域言葉を収集する《ことば図書館》など様々な福島でのプロジェクトへとつながっていくこととなった。これらは個々の小さな声に向きあい淡々と自分にできることを継続する、開発流の「寄り添うアクティヴィズム」とも言うことができるだろう。

開発好明 政治家の家 福島県南相馬市 2012

 本展では、そういった開発の30年以上にものぼるキャリアを俯瞰するものとなる。日々の出来事や社会の変化に生身で向きあってきた開発の作品・プロジェクトから約50点を紹介し、「ひとり民主主義」の世界に来場者を歓迎するものとなる。

編集部

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