日常的なものや出来事から発想した観客参加型の作品を多く手がけてきた開発好明。「ヴェネチア・ビエンナーレ第9回国際建築展日本館」(2004)や「越後妻有アートトリエンナーレ 大地の芸術祭」(2006、2015)など、多くの国際展に参加しているほか、2016年には大型個展「中二病展」(市原湖畔美術館、千葉)を開催した。
今回の展覧会では、ギャラリー内をQRコードのみで構成。鑑賞者は、6つの壁面に1枚ずつ貼られたQRコードを自身の携帯電話などで読み取り、クラウド上にアップされた映像作品に接続する。壁に飾られるはずの作品はギャラリー内には存在せず、自身のデバイスに映し出される映像を通じて、過去のどこかの時点で行われた行為や作品を鑑賞するしくみだ。
ネットワーク環境が必須となり、作品が物質から解放されることも可能となった現代。本展は、読み取るという作業がなければただの記号とも取れるQRコードをひとつのきっかけに、物、時間、虚実といったテーマを再考する試みとなる。