EXHIBITIONS

MOTアニュアル2023 シナジー、創造と生成のあいだ

2023.12.02 - 2024.03.03

荒井美波 太宰治『人間失格』 2012 Photography by Sho Sato

やんツー TEFCO vol.1 2023 photo : 萩原楽太郎

石川将也、杉原寛、中路景暁、キャンベル・アルジェンジオ、武井祥平 四角が行く 2021
photo : 飯本貴子

 東京都現代美術館で「MOTアニュアル2023 シナジー、創造と生成のあいだ」が開催されている。

「MOTアニュアル」は 1999年に始まり、若手作家の作品を中心に現代美術の一側面をとらえ、問いかけや議論のはじまりを引き出すグループ展のシリーズ。19回目を迎える本展では、アーティストの想像力や手仕事による「創造」と、近年、社会的に注目を集める NFT や人工知能、人工生命、生命科学などのありようを反映するかのように自動的に生まれる「生成」とのあいだを考察する。

 1990年代頃から一般にも広く認識されはじめたメディアアートやメディア芸術領域はいまも拡張を続け、復元やアーカイブ化による再検証や歴史化の過渡期にある。また、国際的な企画展やコンペティションに集まる作品群のなかにも、ビッグデータや AI、機械学習によるもの、A-Life、群知能を思わせる作品が多数見られるようになった。繊細な手仕事によって成立する作品も確実に存在するいっぽうで、それらの根底にも、現在的な情報処理の概念が存在する。

 本展では「創造と生成」の両方を見つめ、テクノロジーを用いながらも造形的な語彙によってアイデアを外在化し、鑑賞者の想像力をこれまで以上に掻き立てようとする作家たちの多様な試みに着目し、11組の作家による約50点の作品・資料を展示。2020年以降、プログラミング教育が普及し、次世代に向けて、表現のプラットフォームは変容を続けている。本展では、リアル展示に限らず、デジタル上に拡がるメタバースや空間アーカイブなどを視野に入れた事業やイベントを展開。これまで対立的にとらえられがちであった「創造と生成」「アナログとデジタル」のありようを見直し、それらを超えて両者のあいだに生まれるシナジー(相乗効果)を見つめ、人々の知覚の拡がりを問いかける展覧会となっている。