香川県の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で、画家・猪熊弦一郎(1902〜93)のハワイ時代の画業を紹介する企画展「猪熊弦一郎展 ホノルル」が開催される。会期は3月23日〜6月2日。
香川県出身の猪熊は、東京美術学校(現東京藝術大学)に進学。1938年からはパリへ遊学し、アンリ・マティスに絵画を学んだ。55年にはニューヨークにわたり、以降約20年間は同地を拠点に制作を続けていたが、73年に患った病をきっかけに、その活動に区切りをつけることとなった。その後、降り立ったハワイの青空に勇気づけられ、「アメリカに又第一歩」と再出発を決意することとなる。
“別天地ハワイには其日朝当着 うその如く青空 まつたく別の天地である”
猪熊弦一郎の日記より(1974年7月20日)原文を引用
その後ホノルルにアトリエを構えると、76年には現地で見た虹にインスピレーションを得た絵画を完成させる。以降、猪熊はハワイの自然からの影響や宇宙への関心がうかがえる鮮やかな絵画の数々を生み出してきた。本展では、高層ビルが並ぶニューヨークから自然豊かなハワイへと創作の環境を移した猪熊が、その土地の風土に支えられながらどのように制作を行ってきたのか、ハワイ時代の作品を通じて紹介するものとなる。
作品のほかにも、ハワイでの制作活動を知ることができる写真資料も展示。多角的な視点で猪熊作品を紐解く機会となるだろう。