20世紀日本を代表する画家・猪熊弦一郎(1902〜1993)。その絵本『いのくまさん』をもとに構成された企画展「猪熊弦一郎展『いのくまさん』」が、4月15日〜6月25日の会期で茨城県近代美術館にて開催される。
猪熊弦一郎は香川県生まれ。東京美術学校(現・東京藝術大学)の藤島武二教室で油彩画を学んだのち、1936年に小磯良平らと新制作派協会(現・新制作協会)を結成。東京、パリ、ニューヨーク、ハワイと拠点を移しながら、マティス、ピカソ、藤田嗣治、イサム・ノグチら様々な芸術家と交友し、彼らに刺激を受けつつ独自の画風を追究した。
その制作活動も幅広い。『小説新潮』の表紙絵を40年間描いたほか、三越の包装紙「華ひらく」のデザインや、JR上野駅中央改札の壁画《自由》の制作を担ったことでも知られている。絵本『いのくまさん』(小学館発行)は、彼の作品の魅力を子供たちにもわかりやすく紹介した本で、詩人・谷川俊太郎によるシンプルかつ軽妙なタッチの言葉とともに、猪熊作品の色彩あふれる世界が広がる。
展覧会では、この絵本の構成にあわせて、色鮮やかで生命力にあふれた猪熊作品が会場に並ぶ。絵画作品に加え、自身が「対話彫刻」と名付けた針金などによる昆虫のようなオブジェや、猪熊がコレクションしたおもちゃ、『小説新潮』の表紙絵などの様々な仕事を通じて、猪熊の魅力に迫る。