梅田哲也展から横尾忠則、棟方志功展まで。今週末に見たい展覧会ベスト7

今週開幕・閉幕する展覧会から、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「梅田哲也展 wait this is my favorite part 待ってここ好きなとこなんだ」の展示風景より

浮世絵を構成する様々な要素を知る。「深掘り! 浮世絵の見方」(太田記念美術館)

 初歩的な視点からマニアックな視点まで、様々な浮世絵の見方を紹介する展覧会「深掘り! 浮世絵の見方」が、太田記念美術館で始まっている。レポート記事はこちら

展示風景より

 浮世絵は、絵師、彫師、摺師らの協業によって生まれるもの。本展では、それぞれの卓越したテクニックを紹介することで、作品をより深く堪能できる機会を提供している。

 例えば、葛飾北斎の《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》のような名作はもちろん、北斎以外の絵師たちによる様々な波の表現や現代の職人が手彫りした版木、歌川国芳や歌川国貞・二代歌川国綱による版下絵なども展示。浮世絵を構成する様々な要素を分解することで、様々な角度から楽しむことができる。

会期:2023年12月1日〜24日
会場:太田記念美術館
住所:東京都渋谷区神宮前1-10-10
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル) 
開館時間:10:30〜17:30 ※入館は17:00まで
休館日:月
料金:一般 1000円 / 大学・高校生 700円 / 中学生以下無料

ワタリウム美術館そのものを主役に。「梅田哲也展 wait this is my favorite part 待ってここ好きなとこなんだ」(ワタリウム美術館)

 様々な場所でツアー形式の作品を発表してきた現代アーティスト、梅田哲也。ワタリウム美術館を梅田が劇場に変換し、パフォーマンス公演のように展開する展覧会「wait this is my favorite part / 待ってここ好きなとこなんだ」がスタートした。

展示風景より

 1990年にプライベート・ミュージアムとして開館したワタリウム美術館。本展は、ワタリウム美術館の建築的な側面に焦点を当て、美術館そのものを主役としたツアー型の展覧会だ。

 ツアーの一環では、これまで展示室として使用されていなかった部屋が初めて公開。少人数ごとに時間差で出発する約50分間のツアーは、進行中ところどころで登場するキャストの行動に誘導されながら、施設内の展示室やバックヤードを巡り、日常の風景を異化させる仕掛けに遭遇する。

会期:[1期]2023年12月1日〜2024年1月14日
[2期]2024年1月16日〜1月28日
会場:ワタリウム美術館
住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6
電話番号:03-3402-3001
ツアー時間:13:00〜19:00 (毎20分ごとにスタート、所要時間:約50分、最終入館:18:00)
休館日:月、12月31日〜1月3日
料金:一般 2800円 / U25、O65 2000円 / 小学生以下・障害者手帳所持者とその同伴者1名 無料 / ツアー・フリーパス 5000円(会期中何度でも鑑賞可能)

アーティストとともに学ぶ。「バグスクール:うごかしてみる!」(BUG)

 アートセンターとして様々な可能性を開く試みを実践する東京・丸の内の「BUG」で、「バグスクール:うごかしてみる!」展が行われている。レポート記事はこちら

展示風景より

 本企画はアーティストとの交流を通じて、作品への理解を深めることを狙う。通常の「作品の鑑賞」のみならず、「ワークショップ」への参加といった体験も用意されており、それらを踏まえて「作品の購入」をすることも可能となっている。

 参加作家は、内田涼、柿坪満実子、野口竜平、平手、藤瀬朱里、堀田ゆうか、前田耕平、光岡幸一、渡邊拓也といった1989〜99年生まれの9名。作品の販売金はアーティストの報酬としてキャリア支援につながるほか、その一部はセーブ・ザ・チルドレンにも寄付されるという。

会期:2023年11月29日〜2024年1月14日
会場:BUG
住所:東京都千代田区丸の内1-9-2 グラントウキョウサウスタワー 1階
開館時間:11:00〜19:00
休館日:火
料金:無料

現代における絵画と空間の関係を問う。山中雪乃「POSE」(DIESEL ART GALLERY)

 東京・渋谷にあるDIESEL ART GALLERYが、12月2日よりアーティスト・山中雪乃の個展「POSE」を開催する。キュレーションは日本橋馬喰町のギャラリー・CON_。

 山中は、これまで人間の物質としての輪郭と現象としての状態の双方に注目し、そのあわいに蠢く不定形で非人間的な存在を描いてきた。初期より一貫して人物をモチーフとし、そのスタイルは具象的な描画からランダムなストロークを用いた抽象的な描画へと変化している。

 本展のタイトル「POSE」とは、絵画や彫刻で象られるモデルの姿勢のほかに、見せかけの態度、うわべだけがあるといった状態を意味する言葉でもある。新作の絵画作品12点と初の立体作品を通じて、現代における絵画と空間の関係を問い、失われつつある絵画の実在性、そこに宿る他者の存在に接近する。

会期:2023年12月2日〜2024年1月16日
会場:DIESEL ART GALLERY 
住所:東京都渋谷区渋谷1-23-16 cocoti DIESEL SHIBUYA B1F  
電話番号:03-6427-5955 
開館時間:11:30-20:00
料金:無料

未発表の完全新作102点を一挙公開中。「横尾忠則 寒山百得」(東京国立博物館 表慶館)

 現在87歳の横尾忠則。その未発表の完全新作102点を一挙に公開した展覧会「横尾忠則 寒山百得」が、12月3日まで東京国立博物館 表慶館で開催されている。レポート記事はこちら

展示風景より

 本展で展示されているのは、横尾が2019年から取り組んでいる、「寒山拾得(かんざんじっとく)」をモチーフにした新シリーズ。中国・唐の時代に生きたふたりの伝説の風狂僧、寒山と拾得を指し、歴史的に数多く描かれてきたこの画題を横尾が独自に解釈した作品の数々は、あらゆる世界を縦横無尽に駆け巡るような、時空を超えた物語が紡ぎ出されている。鑑賞者は自由に見て解釈することができるので、横尾の創作の新境地をぜひ会場で確かめてほしい。

会期:2023年9月12日~12月3日
会場:東京国立博物館 表慶館
住所:東京都台東区上野公園13-9
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル) 
開館時間:9:30~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
料金:一般 1600円 / 大学生 1400円 / 高校生 1000円 / 中学生以下 無料

棟方志功の多岐にわたる活動に迫る。「生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」(東京国立近代美術館)

 「世界のムナカタ」として国際的な評価を得た版画家・棟方志功(1903〜1975)。その全容をたどる大規模回顧展「生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」が、12月3日まで東京国立近代美術館で開催されている。レポート記事はこちら

展示風景より

 棟方の生誕120年を記念する本展は、棟方と富山、青森、東京の各地域の関わりを軸にした最大規模の回顧展。板画(自作木版画の呼称)、倭画(自作肉筆画の呼称)、油画など、様々な領域を横断しながら、本の装幀や挿絵、包装紙などの商業デザイン、映画・テレビ・ラジオ出演にいたるまで、時代特有の「メディア」を縦横無尽に駆け抜けた棟方の多岐にわたる活動を目撃してほしい。

会期:2023年10月6日~12月3日
会場:東京国立近代美術館
住所:東京都千代田区北の丸公園3-1
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜17:00(金土〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで 
休館日:月(ただし10月9日は開館)、10月10日 
料金:一般 1800円  / 大学生 1200円 / 高校生 700円 / 中学生以下無料

「日本画」の過去と現在地を探る。「シン・ジャパニーズ・ペインティング」(ポーラ美術館)

 箱根のポーラ美術館で13年ぶりとなる日本画の企画展「シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画―横山大観、杉山寧から現代の作家まで」が12月3日に終了する。レポート記事はこちら

展示風景より

 「日本画」という概念は、明治政府のお雇い外国人として来日したアーネスト・フェノロサ(1853〜1908)が日本国内で目にした絵画を総じて“Japanese Painting”と呼び、この英語を日本人通訳が「日本画」と翻訳したことで明治以後に定着していったと言われている。

 本展は、2010年にポーラ美術館が近現代の日本画コレクションを紹介する展覧会を開催して以来の初日本画展。近代の「日本画」を牽引した明治、大正、昭和前期の画家たちや、杉山寧をはじめとする戦後の日本画家たちの表現方法、そして現在の「日本画」とこれからの日本の絵画を追究する多様な作家たちの実践の数々にあらためて注目し、その真髄に迫ろうとするものだ。

会期:2023年7月15日〜12月3日
会場:ポーラ美術館
住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
電話番号:0460-84-2111 
開館時間:9:00〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで 
料金:一般 1800円 / 高校・大学生 1300円 / 中学生以下無料

編集部

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