デジタルペインティングを中⼼に、3DCGやAIなどのテクノロジーを駆使した作品を発表し、NFT界でも広く活躍するアーティスト・たかくらかずき。その新作個展「可能性の壺」が、今年開業した京都 蔦屋書店(京都髙島屋S.C.[T8]内)で開催されている。会期は12月6日まで。
たかくらは1987年山梨県⽣まれ。京都在住。東京造形⼤学⼤学院修⼠課程修了。3DCG やピクセルアニメーション、AI、VR、NFTなどのテクノロジーを使⽤し、仏教などの東洋思想による現代美術のルール書き換えとデジタルデータの新たな価値追求をテーマに作品を制作している。今年3月には、地元・⼭梨県⽴美術館で、新たな企画シリーズとなる「LABONCHI(ラボンチ)」の第1弾となる個展「メカリアル」を開催したことは記憶に新しい。
近年、⽇本仏教や妖怪などをモチーフに、平⾯作品に限らずインスタレーションなど様々な⼿法を⽤いて、東洋思想とデジタルを掛け合わせた独⾃の世界観をつくりだすたかくら。「可能性の壺」と題した本展では、⼀⾒同じようで違う緻密な作品を並べることで、真実や正解は複数存在するというテーマを表現する。
絵を描いているといくつもの選択が⽣じる。例えば線の⽅向や⾊、モチーフ。僕はデジタルで絵を描いているので、うまくいかなかった線はすぐ戻ってやり直すことができる。作品が完成した後、もしも別の線を選択していたらどんな絵が描けただろうか?と考えることがある。
AIで画像⽣成ができるようになり、AIそのものの「絵の描き⽅」に驚いた。AI画像⽣成では、複数の結果が同時に⽣成される。それはまるでハリウッド映画で流⾏りの「マルチバース(並⾏世界)」のようだ。そこには正解もなければ唯⼀の美もない。同じ要素からいくつかのパターンが選択され、バリエーションとして現れる。
答えが⼀つである必要はない。美も正義も⼀つではない。それを⼀つにまとめようとする「美術史」や「イズム」がそもそも、過去のものだとしたらどうだろうか?複数の真実、正義、答え、美を「受け⼊れる」という価値観こそが、これから必要なものなのではないだろうか。(プレスリリースより、たかくらによるステートメント)