現在のデジタルグラフィックは、大きく2つの形式に分けられる。ひとつはAdobe Illustratorに代表される線と面による座標表現「Vector」、もうひとつはAdobe Photoshopなどで描かれるドット集合描写「Raster」だ。
本展は、主に「Vecter」を使用するグラフィックデザイナー、アートディレクターの金田遼平と、「Raster」を用いるイラストレーター、アーティスト、ゲームクリエイターのたかくらかずきによる二人展。
本展に向け2人は、制限時間を設け、全部で12ラウンド / 12テーマの作品を制作。テーマはWikipediaから選出され、1テーマにつき、それぞれの単体作品と、それらを2人がリミックスした作品を制作し、12ラウンドで計48作品が出来上がった。
製作時間を制限することによりスポーツやセッションのような即興性を持ったこれらの作品は、制作中の姿勢や視線の流れ、デバイスを駆使する両腕や指先の動きなど、操作する者の身体性を反映している。一様な印象を持たれがちなデジタルツールだが、本展ではその新たな側面を見ることができるだろう。