飯田竜太と田中義久の2人からなるアーティストデュオ・Nerhol(ネルホル)の新作展「REVERBERATION」が、東京・神宮前のThe Massで開催される。会期は11月18日〜12月26日。
Nerholは、特定のモチーフの連続写真を何枚も物理的に積み重ね、それを彫刻してひとつの作品として制作することで知られている。2007年より活動を開始し、11年からは数分間かけて200カット以上撮影をしたすべて異なるポートレートを束ねて彫刻することで生み出される歪んだ人物像の立体作品を発表し、大きな注目を集めている。
その後、国内外の美術館やギャラリーの展覧会への参加を重ねるなか、街路樹、動物、水、あるいはインターネットで見つかった画像データや記録映像など、様々なモチーフを選びながら、それらが孕む時間軸さえ歪ませるような作品を制作してきた。2020年のVOCA賞受賞により一層注目が高まり、これまでFoam Museum(アムステルダム)、金沢21世紀美術館(石川)、Youngeun Museum of Contemporary Art(韓国)、Yutaka Kikutake Gallery(東京)などで個展を開催している。
本展では、近年2人が継続的に取組んでいる帰化植物をテーマにしたシリーズを中心とした新作を発表。帰化植物とは、本来の自生地から人間活動を含む様々な要因によってほかの地域へ運ばれ、やがてその土地で野生化した植物のことを指す。そこに存在する植物やその植物を運んだ要因、またはその因果をつくった人間の活動の歴史など様々な関係に介在する時間や歴史は、Nerhol作品に通底する欠かせないコンセプトだと言える。
今回の新作について、The Massはプレスリリースで「私たちが普段何気なく目にするものを再び意識させ、そこに向き合う時間を与えてくれる作品群となるだろう」と評価しつつ、次のようにコメントしている。
「Nerhol作品は、様々な問いと挑戦にあふれ、普遍的なテーマを扱いながらもつねに新しい表現を求めてきた。それは美術の本質に迫る行為そのものであると言えるだろう。柔軟性や多様性、他者への理解が必要とされる対話という行為を繰り返しながら作品を生み出していくその形式こそがNerholのアートであり、現代社会においてそのような芸術活動が重要な行為であるように思えてならない」。