森美術館が2024年度、シアスター・ゲイツとルイーズ・ブルジョワの大規模個展を開催へ

森美術館が、世界的に評価されているアーティスト、シアスター・ゲイツとルイーズ・ブルジョワの大規模個展を2024年度に開催する。それぞれの会期は2024年4月24日〜9月1日と2024年9月25日〜2025年1月19日。

シアスター・ゲイツ ザ・リスニング・ハウス 2022国際芸術祭「あいち2022」の展示風景より 撮影=ToLoLo studio

 森美術館が、2024年度に2本の大規模個展を開催する。2024年4月24日〜9月1日に行われる「シアスター・ゲイツ展」と、2024年9月25日〜2025年1月19日の「ルイーズ・ブルジョワ展」だ。

 パンデミックや戦争の影響により世界各地で社会の綻びが生じ、人々の感情が揺れるなか、同館は現代美術館として引き続き世界の歴史、社会、価値観の多様性を映し出しながら、私たちがともに生きるために何ができるのかを問いたいと考え、これらの展覧会を企画したという。

 アメリカ・シカゴを拠点に活動し、世界の現代アート界で高く評価されているシアスター・ゲイツ(1973〜)。土という素材、客体性(鑑賞者との関係性)、空間と物質性などの視覚芸術理論を用いて、ブラックネス(黒人であること)の複雑さを巧みに表現し、彫刻と陶芸作品を中心に、建築、音楽、パフォーマンス、ファッション、デザインなど、メディアやジャンルを横断する活動を続けている。

シアスター・ゲイツ へヴンリー・コード 2022
レスリースピーカー、ハモンドオルガン「B-3」、サウンド サイズ可変 撮影=ジム・プリンツ・フォトグラフィー

 近年は「アフロ民藝」というコンセプトで、ブラック・カルチャーと日本文化の接続を試み、多岐にわたる作品と活動を幅広く発表。また、昨年の国際芸術祭「あいち2022」では、自身が20年前に陶芸を学んだ愛知県常滑市で旧丸利陶管の住宅部分を改装し展示したインスタレーションも大きな注目を集めた。

シアスター・ゲイツ ドリス様式神殿 2022
高火度炻器、釉薬 サイズ可変
「シアスター・ゲイツ展:ヤング・ローズと彼らの軌跡」(ニュー・ミュージアム、ニューヨーク、2022-23)の展示風景より 撮影=クリス・ストロング

 ゲイツにとって日本初、そしてアジア最大規模の個展となる本展では、これまでの代表作のみならず、本展のための新作を含む、日本文化に関係の深い作品を紹介。手仕事、人種への問い、政治、文化のハイブリッド性などを謳うアートの今日的な重要性を伝えながら、ゲイツ芸術の全貌を明らかにする。

 いっぽうのルイーズ・ブルジョワ(1911〜2010)は、20世紀から21世紀にわたって活躍したもっとも重要なアーティストのひとりであり、六本木ヒルズの蜘蛛の彫刻《ママン》でも知られている。70年にわたるキャリアのなかで、愛情、嫉妬、怒り、不安など多様な感情を様々なメディアで表現し、感情の起伏と稀有な造形力を融合させた孤高の作品群を生み出してきた。

ルイーズ・ブルジョワ ママン 1999/2002
ブロンズ、ステンレス、大理石 所蔵=森ビル株式会社(東京)

 ブルジョワの日本における27年ぶりの大規模個展となる本展では、絵画、版画、素描、彫刻、インスタレーション、遺稿などを通じ、その活動の全貌を紹介。とりわけ1938年から1949年までの絵画作品の数々は、東アジアでは初めての紹介となる。また、「蜘蛛」を題材としたシリーズも展示し、六本木ヒルズのパブリック・アート作品《ママン》に込められた「母の愛」や「治癒の力」、「記憶」などのテーマを探求する。

編集部

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