ロームシアター京都 ノースホールで関西音楽シーンを彩る異才たちによる「Sound Around 003」が開催される。上演は6月24日 19:00~、6月25日 14:00~。
Sound Aroundは、ジャンルや固定観念にとらわれない「音楽」を軸にしたアーティストのパフォーマンスを紹介するシリーズ。2021年に開催された第1回は、作曲家兼パフォーマーユニット「いまいけぷろじぇくと」をホストに迎え、コロナ禍で制限された「声 / 言葉」をテーマに新しい音楽の楽しみ方を提案。続く第2回は、モーターと養生テープを使用したサウンドパフォーマンスを行う気鋭のユニット「正直」が、偶然から生まれて変化していく音をインスタレーション形式で発表。「即興 / 変化」をテーマに、これからの音楽について提言した。
第3回目となる今回は、メインアーティストに日野浩志郎を迎え、ロームシアター京都が初めて本格的に「作曲(コンポジション)」に取り組む。日野は、実験的なリズムのアプローチを試みるバンド「goat」や「bonanzas」、電子音楽を使ったソロプロジェクト「YPY」、電子音とクラシカル楽器を融合させたハイブリッドオーケストラ「Virginal Variations」など、多岐にわたるアウトプットで注目を集める音楽家だ。
本企画では、作曲家と演奏家というヒエラルキー的な関係ではなく、両者が役割を超えて曲を書きおろすプロセスを重視。専門性と経験に基づいた意見を交錯させ、既知の作曲手法も参照しながら、作品をつくり上げる。
公演では、作曲がもたらす「音楽の可能性」を最大に感じられるシンプルな演奏会形式を採用。パフォーマンスは打楽器を中心に構成されており、ヴィブラフォンやマリンバといった鍵盤打楽器のほか、ボンゴやコンガといった民族楽器、ウッドブロックや和太鼓など多様な楽器を使用。演奏するのは、ヴィブラフォン・マリンバ奏者で作曲家の藤田正嘉、打楽器奏者の谷口かんな、元・太鼓芸能集団鼓童の前田剛史。
様々な音色を奏で異なるリズムを互いに呼応させることで、規則的にも不規則にも聞こえるリズム遊びのような世界観が生まれる。そこに、ダムタイプや坂本龍一のプロジェクトにも参加してきた古舘健のエレクトロニクスが加わり、新たな輪郭が浮かび上がるという。
本公演は、今回のプロジェクトで生まれた曲に没入し音楽を楽しむことはもちろん、音が生まれて音楽として人々に届くまでの核となる「作曲」を問い直す機会にもなるだろう。