東京・馬喰町のギャラリー・PARCELで、彫刻家・森靖の2回目の個展「Twister」が開催される。会期は5月27日〜7月11日。
森靖は1983年東京生まれ。2009年に東京藝術⼤学⼤学院彫刻科を修了し、現在は東京を拠点に活動を続けている。2020年、同ギャラリーで行った個展「Ba de ya」でエルヴィス・プレスリーをモチーフにした超巨大木彫を発表し、大きな注目を集めた。
森の作品モチーフは、アメリカのポップアイコンから中世古典彫刻まで、⾮常に⻑い時系列の上に成り⽴っており、その要素を縦横無尽に⾏き来しながら我々に「美」などの根源的な要素や、記号論的な思い込みや意識に対して問いかけている。
本展では、新作群とともにオーストラリアのNGV(ビクトリア国⽴美術館)に収蔵が決まっている作品も展示(会期前半のみ)。メインを成すのは2体の⼤型彫刻作品だ。
作品の⾼さは、医学的な記録上現存する人間の最⻑身長である272cm。また、⼈間の最⾼齢の記録である120年に近い樹齢の⽊を使用することで、このサイズが可能となったという。
⼤型作品にこだわり続け制作を続けている森は、その理由について次のような言葉を寄せている。「指先で容易に画⾯越しのイメージを拡⼤縮⼩できる時代において、スケールを変えるという感覚は⽣活の中で今は当たり前のように存在している。あまりにも画⾯の中での世界で⽣活をする時間が⻑くなっている今だからこそ、現実においてのスケールを実感することが必要だと感じている」(プレスリリースより)。
使⽤する素材の物質性や、古典彫刻からポップアイコンまでの美の変遷や価値観など、1つの作品には様々な事象がツイストした(ねじれた)状態で共存する。また即興性の高い制作プロセスでは、初期の完成像を⼀気に転覆/転換させる要素(パーツ)を追加したり、あった物を削ぎ落としたり、という「ツイスト」を段階的に加え、反復しながら最終形へと向かう。本展タイトル「Twister」は、こうした森のコンセプト・制作過程を表すものだ。
AIによる画像生成などデジタル技術がますます生活に浸透するなか、森が提示する木彫の必然性を感じてみたい。