割引対象は「99歳以上」? 藤城清治美術館のユニークな取り組み

日本を代表する影絵作家として知られる藤城清治。その作品を展示する藤城清治美術館が、ユニークな入館料設定で話題を集めている。

藤城清治美術館エントランス 提供=藤城清治美術館

 影絵作家・藤城清治。99歳を迎えてなお、精力的に作品を描き続けている巨匠だ。そんな藤城の作品を展示する那須町の藤城清治美術館(2013年開館)が、ユニークな入館料設定で話題を集めている。

藤城清治 魔法の森に燃える再生の炎 ©️Seiji Fujishiro

 同館では、開館当時より「藤城清治と同じ年齢の人々」が入館割引となる制度をスタート。藤城が誕生日を迎えるたびに、その設定も更新され続けている。4月17日には99歳となった藤城。これにあわせ、現在の入館料金は「一般(高校生以上)」2000円、「3歳〜中学生」1300円、そして「99歳以上のお客様」が1300円だ。

展示室 提供=藤城清治美術館

 高齢者割引はほとんどの美術館で導入されているが、作家の年齢にあわせて更新されるという例は類を見ない。なぜこうした取り組みを行うのか? 藤城清治の娘で同館館長を務める藤城亜季によると、これは「高齢者へのエール」だという。

 「父はいまも元気に絵を描いていますが、同じように、同年代の高齢者の方々にも元気に足腰を使って美術館に来てもらいたいのです。そして藤城の絵を見て元気になって、生きるよろこび、生きる力を得てほしいんです。父は筋肉をつけるために運動をしており、そうすると脳も活発になると常々言っています。戦争を経験した自分と同世代のみんなが頑張ってほしいというのが父の思い。こうした年齢設定をすることで、高齢の方々も父に負けじと来館していただければ幸いです」。

 同館ではそうした来館者に感謝の気持ちを込め、美術館招待券などをプレゼントとして渡している。これまで、藤城より年配の来館者も訪れたこともあるという。

 来年には100歳を迎え、福岡での大規模な個展も予定されている藤城。高齢者のみならず、多くの人々がいまそのエネルギーにふれられる藤城清治美術館を訪ねてはいかがだろうか。

明治期の長屋門が美術館への入り口 提供=藤城清治美術館
チャペル内部のステンドグラスも藤城の手によるものだ 提供=藤城清治美術館
藤城清治 月光の響 ©️Seiji Fujishiro

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