2023年4月14日に開業する「東急歌舞伎町タワー」 が、周辺地域の歴史を紡ぐアートプロジェクトの概要を発表した。
全長280メートルの建設現場の仮囲いを活用し、「新宿アートウォールプロジェクト」として、2019年〜20年に開発好明の《Evangelion Styrofoam》、21年4月より森山大道の写真作品群「SHINJUKU」を展示してきた同施設。
開業後の本プロジェクトには、新宿・歌舞伎町にゆかりのある日本人作家を中心に若手から巨匠まで26組が参加。新宿・歌舞伎町からインスピレーションを受けた作品や、地域の素材を用いた作品が同施設内各所に展示されるという。
今回先行発表として名前が挙げられた参加アーティストは、淺井裕介、篠原有司男、森山大道、Chim↑Pom from Smappa!Group、西野達、大巻伸嗣、青木野枝の7組。
森山大道は、作品集『新宿/Shinjuku』から作品を厳選し、本施設1階エントランスなどに複数箇所に設置。また、Chim↑Pom from Smappa!Groupによる「スクラップ&ビルド」を可視化した立体作品《ビルバーガー》は本施設2階エントランスにそれぞれ設定される予定だ。
さらに、淺井裕介、篠原有司男、西野達、大巻伸嗣、青木野枝は今回のプロジェクトに際して新作を発表。淺井裕介は、本施設建設時に地下深くや新宿界隈で採取した土などを、西野達は新宿を象徴するような家具などを作品に使用し、新宿・歌舞伎町という街の記憶を作品に取り込むという。
なお、作品の展示に際しては、地下から地上225メートルに伸びる建物が街と空とをつなぐようなイメージで、作品と施設内の用途やコンセプトの調和を叶えるゾーニングを実施。低層付近では「混交、時間、動、街・路上、土、活動的、日常」、高層部では「透明、無時間、 静、異次元、空、リラックス、非日常」をテーマとして作品が配置される予定だ。
本プロジェクトのキュレーターを務めるのは、「あいちトリエンナーレ」にて地域との親和性が高いアートプロジェクトを経験してきた愛知県美術館館長・拝戸雅彦と東京・天王洲の現代美術ギャラリー「ANOMALY」。拝戸は、次のようにコメントを寄せている。
アート作品を設置するにあたって考えたのは、街に溢れかえる色や光と、アートも含めて時代に敏感で活発的、でも時に感傷的でヒューマニックな人々の姿や歴史を映し出したものにする、ということでした。その一方で、 地上から天空に向けて舞い上がる鳥のような視点をも体験できるような場所になっています。
さらに、文化発信力の更なる充実・強化を図るべく、東京・天王洲の現代美術ギャラリー「ANOMALY」と協働。新宿・歌舞伎町エリアの文化発信力の更なる充実・強化を目指すという。
新宿・歌舞伎町という街が紡いできた文化を体感できる施設として開発が進む東急歌舞伎町タワー。本プロジェクトでは、その随所に配置された「この場所でしか出会えない作品」から、アートを通して街の記憶に触れる空間を実現するという。