──おつかれさまでした。ボクシング・ペインティングは非常に盛り上がりました!
作家としては爽快感があるし、見る側も楽しんだりショッキングだったりいろんなものがあるでしょ。やる側も見る側も楽しめるから長く続けられてるんだね。だけど準備は大変よ。今回は色も変えようとなって、ボクシングのグローブも最低8個から10個は用意しないとならない。東京に来てから隔離期間があったから、ホテルでつくったよ。僕の場合は戦前派で小学校の頃には飛行機の模型やなんかつくってたから、手仕事がずーっと背骨に染み付いてるんだ。
──1点は黒1色で、もう1点は4色を使ってパフォーマンスされましたが、アクリル絵具の準備も大変そうです。
そうよ。絵具屋さんでチューブで買うわけじゃないからね。バケツで買って、それをでかいタライみたいなのにぶっ込んで練るわけよ。練るったって筆じゃなくて、モーターの先にかき混ぜるやつがついたマシンを使うわけだ。それを練るのにも飛び散らないようにテクニックがいるのよ。塩梅を見て、汁粉を混ぜるような感じだよね。そういう準備はすごいよ。
──ボクシング・ペインティングは1959年から61年頃にかけて実験と実践を繰り返されたそうですが、最初に手応えを感じたときのことを教えていただけますか。